ready to rumble

2006/05/18

客席は、99%完成。
ただし、客席ができたからといって営業できるというわけではないんです。本当に、そうじゃないんです。
レストランは、食事をする場所。座るだけの場所ではありません。座ってもらったあとに何を出すか、それが一番大事なポイント。
これまでどうしても工事のことばかりで頭がいっぱいで後回しになっていましたが、ようやくメニューについて考える体勢になってきました。

まずは、工事に入る前に作ってあったメニューを見直すことからスタート。実際に使用するメニューというよりは、単にメニューの配分とデザインを決めるために作った仮バージョンだったのでそのまま使えるわけではありません。レシピはどうするかなどは全くの未知数です。それどころか新しい厨房機器は使い方すらわからないものもあります。
とりあえずスーパーで大量に食材を買い込んで試作をすることにしました。厨房機器の説明書とレシピ本とメモ用紙と食材の山に囲まれて、朝から晩まで次から次へと作りまくり。作りまくっても試食しまくり、というわけでは意外となく、ぜんぶ食べているヒマはないので作っては捨て作っては捨て。ずーっと料理しているのに腹ぺこです。

そうして、メニューもけっこうできてきました。いちおうオープニングレセプションということで、土曜日には底石夫妻&ゆうを招いてちょっとふるまいました。ゆうは、客というかなんとういうか、泣いておっぱいのんでおしっこしてウンチして寝て、いま彼女にできることをすべてやり尽くしたという感じでしたが、底石夫妻にはまあまあ喜んでいただけました。

しかし、何を出すかを固めるだけでは半分くらいです。食材をどう仕入れて仕込むかを確定させ、どう保存するか、どこに置くかなど考えないといけないことがまだまだあります。厨房の内側はもう少しブラッシュアップが必要です。
すべてのメニューを実際に作ってみて、これは使える、これは使えないと取捨選択をし、同時にマニュアルを作ります。働くのはぼく一人でも、マニュアル化しておかないと原価がいくらなのかとか何をどこにどうやって保存するかが把握できないのです。そして必要な食材をリストアップし、業者に見積もりを依頼してなるべく安いところを探し、発注し・・・等々。
挙げていくとキリがないのですが、少しずつ少しずつメニューもできてきました。

16日には、レセプション第2弾。海上くんの誕生日を祝うということで海上軍団が大挙して押し寄せてくれました。総勢、なんと9名!
さすがに9名はキツいかとも思ったのですが、開店前に一度満席状態を経験しておくのも必要かもしれないと思い無理やり入ってもらいました。
料理は、作戦通り真空調理であらかじめ仕込んでおいてあるので手間は少ないのですが、9名ともなるとそれを出すだけでいっぱいいっぱい。まだ厨房の中で何がどこにあるか把握していないので余計な時間がかかります。
それでも人で溢れた客席を見るのは気持ちのいいものだし、実際にこの人数だとどれくらいの洗い物の量になるのか、トイレのゴミ箱はどれくらいの時間でいっぱいになるのかなど、お客さんを入れてみないとわからないデータが集められたのは非常によかった。あと「レセプション」の綴りは「receiption」じゃないことにも気づいた。
食器洗浄機サイコー。あれがなかったら絶対、一人で営業なんてできない。それと真空調理はかなり使えるという手ごたえを感じました。(パコジェットは、まだいまいち使いこなせていない。)
それに何よりも、オープンしたら友だち連れて来るってみんな言ってくれたしね。まだまだ商品としての完成度はどうかなっていう部分も大いにありますが、方針としては間違っていないのではないかと思いました。


そして。いつまでも準備ばかりはしていられない。この間のことで2万字くらい日記を書けるのですが、そんな時間もない。まだまだ不安は尽きませんが、とりあえずオープンの日を決めよう。
大安なので17日!・・・と一瞬リリースしかけたのですが、これまで遅れに遅れている前科があったので、余裕をもたせて20日オープンということにしました。友引です。いい日取りです。当初の予定の4月20日からちょうど一ヶ月遅れでキリがいいし。キリがよくてもいいことは何もないが。

今日、昼過ぎからまた山のように食材が届いています。これからグランドオープンのための仕込みに入ります。
泣いても笑っても、5月20日午後5時がtextile dining michiのオープンです。お暇な方はぜひおこしください。
井の頭線池ノ上駅から徒歩2分。駅から店の携帯電話にお電話いただければご案内します。
電話番号は090(1773)3319。いーななんかさあ、さあさあ行くぞ、と覚えてください。さあ!

無題

2006/05/20

ようやく店がオープンしました。

しかし、まだまだみなさんに胸を張って報告できるものではありませんし、報告する余裕もありません。

落ち着いたらゆっくり振り返ろうと思います。

とりあえず、いらぬ心配をかけぬよう、「オープンした」ということだけを書いておきます。

2割

2006/05/22

念願の自分の店がオープンした。2006年5月20日。

ぼくは昔から、先日付の未来日記のようなものを想像で書くクセがあって、もちろん「この日」のことについてはいつも頭の中にぼんやりと筋書きができていた。
その日記の中で、ぼくが店の看板を表に掲げる。集まってくれた大勢の友だちの前でスピーチをする。みんなに食べてもらいたいとずっと思っていた料理を出す。ぼくは涙でこれまでの道のりを振り返り、素敵な日記を書く。

しかし現実は、そう単純にはいかない。

***

ぼくはオープンを5月20日と決めた。
本当のところは、まだまだ準備不足と言わざるをえない。
だけどとにかく、5月20日と決めた。いつまでもオープンしないと、じきに資金が尽き干上がってしまう。それより何より、見切り発車でも発車日時を決めないと、いつまでたっても前には進まないのだ。準備は準備、本番でしかわからないことがある。店作りの第一フェーズは「なにがなんでも店を開けること」なのだ。

3日ほど、ほとんど寝ないで仕込みをした。
料理が好きな人ならなんとなくわかるだろう。「ひとの家の台所は使いづらい」。「同じ料理は、1度目より2度目、2度目より3度目に作ったほうがおいしい」。とにかく、いろんな意味で初めての料理というのはしっくりこないものである。
初めての仕込みは、そんなしっくりこないことの連続であった。
もちろんこれまで自分の家で試作のようなことは繰り返しており、これはいけると思ったものを多くメニューに取り入れたつもりではあった。しかしそれを店の厨房で再現してみると、そして金を払うお客さまにふるまうことを考えてみると、全く別なのだ。
初めて使う食材。初めて作る量。品数。割高だけれどもそこそこに質のよいチーズを少量スーパーで買ってきて一人分の料理を作るのと、原価のことを考えながら業務用の食材を仕入れて何食分もの料理を作るのでは、思った以上にできあがりに違いがある。作ってみて、味見して、とたんに自信がなくなる。
厨房機器も、調理器具も、初めて使うものばかり。ましてや核となる真空調理にいたっては学校で2度ほど講義を受けただけで、ろくに知識もレシピもない。機械の説明書を読みながらとりあえず作ってみてひと口食べ、捨てる。試行錯誤という言葉がこれほどにあてはまるケースもほかにない。トライアルし、エラーする。エラーばかりで前に進んでいるかどうかわからない。これで、店として成り立つのだろうか?不安ばかりがつのる。
でも、もう決めてしまった。5月20日と決めてしまった。逃げれるものなら逃げたいけれど、逃げる場所はどこにもない。なにがなんでも開けるよりほかないのだ。

20日の正午ごろ、どうしても食材が足りなくなってしまったいくつかのメニューを除いてほぼ全ての仕込が終わった。一部のメニューは完成度が高いとはいえなかった。いや、一部というか、胸を張っておすすめできるメニューは数えるほどしかなかった。
しかし、もう逃げる場所はどこにもない。
倒れるように、店のテーブルに突っ伏して1時間だけ寝た。

そしてまた起きて、それから店内を整えた。客席だけは完成してお披露目もしていたけれど、細かいところで営業する体勢になっていないところはいくらでもある。おしぼりがない。つり銭がない。音楽が鳴らない。自分で作ったメニューブックに印刷したメニューを貼るつもりなのだけれどまだ印刷していない。ドリンクメニューは作ってもいない。
とりあえず家に戻ってフードメニューを印刷する。ドリンクメニューはやっつけで作る。こんなときに限ってプリンタの調子が悪い。なだめすかして印刷し、コピーをしにコンビニに走る。外は大雨。傘をさしても雨に濡れ、せっかく印刷したメニューが滲む。慌てて家に戻ってまた印刷しなおし、またコンビニに走る。「コピーするので両替してください」とレジに1万円札を出し、営業開始寸前にようやく釣銭を作る。とにかく焦る。

そうして迎えた営業開始。思い描いていたイメージどおりに進んだことは、ひとつもなかった。

ただひとつだけイメージどおりなことがあるとすれば、友だちが来てくれるということだろう。
最初のお客さんは、やっしーとタキさん、そしてノン。彼らが来たときには、メニューはまだ印刷しただけで切り取ってもいなかった。お客さんが来て慌ててメニューを作るという、なんともドタバタな店。でも友だちは、暖かく見守ってくれる。(はず。)
オーダーに応じていくつか料理を出す。おいしいと、言ってくれたような気がする。よく覚えていない。
そう、よく覚えていないのである。頭の中の未来日記では、ぼくは初めてもらう代金の重みに感慨を覚えるはずなのであるが、よく覚えていないのだ。

仕事の前で彼らにはゆっくりはしてもらえなかったのだが、入れ替わりに、店のあるマンションの大家さんが近所の人を連れて来てくれた。ぼくがずっと自分で工事をしていたのを知っていたので、前の店とはずいぶん違う感じになったと言ってほめてくれた。もう食事は済ませてきたということで顔を出しただけで一杯飲んですぐに帰ったのだが、えらく緊張した。したと思う。よく覚えていない。

9時ごろに、底石さんが来た。それからおしょうたちが来た。もしかすると順番は逆だったかもしれない。おしょうはたくさん人を連れてきてくれて、最終的に7人になった。あれ、6人だったかな。
彼らが来るまでは2人、2人の来客だったのでまだよかったが、それくらいの人数になると一気にキャパシティを超える。冷蔵庫のどこに何があるか、まだ把握していないから仕込んであるはずの料理でも無駄に時間がかかる。おまけに生ビールがなくなる。オーダーに対応できない。慌てて料理を作るので味付けに失敗する。最終的には彼らがお祝いで持ってきてくれた酒を、氷と水を出して勝手に飲んでもらう方式に落ち着いてしまった。

とにかく、何一つ、長い間思い描いていたようにはいかなかった。
とくに情けないのが、きちんとした料理を出すことができなかったのももちろんだが、「覚えていない」ということだ。日記にしようとしてみて、びっくりした。
ぼくは日記に、自分の身に起きたことをなんでも上手に書けると思っていた。そしていい日記を書くために、自分の人生を思い通りにコントロールしていけると思っていた。イメージどおりに店を作ってオープンさせれば、最高の日記が書けると思っていた。

全く、そうはならなかった。
とにかく疲れ果て、片付けも後回しにして家に帰って久しぶりに寝た。

***

21日。目覚ましが鳴ったときからもう疲れていた。
準備不足で店をオープンさせ、キャパシティを超えた営業をして、状況は初日より悪くなっていると言える。正直なところ、休みにしてしまいたかった。
しかし、今日も友だちが来てくれるかもしれない。せっかく来てくれて開いていなかったら、これほどの失礼はない。事前に連絡をもらっていたわけではなかったが、ぼくには「今日はたぶんマイティとチンプイが来る」という妙な確信があった。必死に店を片付けて、2日目もまた開けた。

冷蔵庫の整理など、手をつけないといけないことはまだまだ山のようにあるのだが、たとえお客さんがいなくても営業時間中にはそういう大掛かりなことはできない。営業の体勢を整えると後はじっと待つよりほかなく、照明を落とした店内でとたんに眠気に襲われる。いつの間にか狭い厨房の中で作業台に突っ伏して寝ていた。
メールが来て目が覚めた。「席空いてる?」。マイティからだった。やっぱり。開けていてよかった。

とくにチンプイは、なかなかのグルメのようなので提供するこちらも少しビビっていたが、いくつかはおいしいと言ってもらえた。メニューにより完成度にバラつきがあるが、例えば「鴨の和風ローストわさびソース」などは自分でもなかなかの出来だと思う。これぞ真空調理の本領発揮といったメニューだ。
彼らにはずいぶんゆっくりしてもらって、メニュー構成や価格についても率直な意見をもらった。
マイティの指摘で初めて気付いたのだが、初日に大慌てで作ったドリンクメニュー、「GIN、WODKA、JIN、RUM・・・」となっている。ジン、ウォッカ、ラム、のつもりなのだが、GINとJINってなんだ。(GINが正解。)WODKAってなんだ。(VODKAが正解。)ずいぶんテンパっていたらしい。

ほかに、マンションの住人の方がまた来てくださった。初日に来てくれた大家さんの孫で、おばあちゃんから聞きました、ということだった。少なくとも大家さんは「あんな店行かないほうがいいわよ」とは言わなかったということである。
やっぱり大緊張。今日届いた新しい麺を使ったので、スパゲティのゆで時間を間違う。しかも味見をしたのにそれに気付かない。出した後に、ゆで時間は7分じゃなくて8分だったことに気付いて青くなる。
しかし、何事もなかったかのように「おいしい」と言いながら食べてくださった。・・・が、本当のところはどうなんだろう・・・・。
まだ特に宣伝もせずひっそりと門を開けただけのいわゆるサイレントオープンであっても、オープニングレセプションではなく本当のオープンとなると、友だちばかりではなく知らない人もやってくるということだ。大目に見てもらえるだろうという甘えは許されない。身が引き締まる思い。

***

こうして無事に2日目は終了。とはいかない。
実はオープン前日くらいから、客席の床に水が漏れ出しつつあった。どういうわけだか厨房内の排水溝の水位が上がりすぎていて、そのせいで水漏れが起きているらしい。ここ数日で一気に仕込みをして洗い場がフル回転したから、配水管の何かが詰まってしまったのかもしれない。
営業前に床の水漏れをモップでなんとか拭き取って、1日目2日目はなんとか騙し騙し営業していた。しかし漏れてくる水の量はどんどん増えてきて、2日目が終わるころには客席の床にシャレにならない水溜りが常にできている状況になった。しかも漏れているのは排水である。水の量が増えるにつれ、客席もなんとなく臭うようになってきてしまった。
これはヤバい。モップで拭き取って水を流さなければ水溜りはなくなるのだが、少しでも水を流すとすぐにまた漏れる。量が多くなると臭う。かといってモップで拭きながら営業するわけにもいかない。

業務用の厨房の排水は、グリーストラップといって油脂や残飯が配水管内に流入して詰まらせないように防止する仕組みになっている。しかしグリストか配管か、どこかが詰まって水が溢れているようだ。
床に這いつくばって詰まっている箇所を探す。グリストの中。要するにドブである。グリスト掃除はつまりドブさらいであって、飲食店で働いたことのある人ならその過酷さがわかるだろう。だれも掃除したがらないし、するとしたら専用のザルでビニール手袋なんかを使って完全防備で挑む危険地帯である。単にザルでグリストの表面のゴミをすくうだけでもいやなのに、配管に手を突っ込んで詰まっているものを流さないといけない。

これは、3日目の営業はできないかも、と思った。なにせ客席でも臭うのである。飲食店としてありえない。
3日目こそは休みにして、排水溝の掃除をしようという考えが頭をよぎった。
むしろ、休みにしたかった。休みたかった。疲労はピークだった。あらゆるものが準備不足だ。床に水が漏れているというのは、休みにするいい言い訳だった。半分以上休むつもりで、「機器の故障のため勝手ながら本日はお休みとさせていただきます」という張り紙を、実は作った。

しかし。
誰かが来るかもしれない。
楽しみにして誰かが来て、その張り紙を見たら悲しむだろう。
どうしても水漏れが解決しなかったら、本当に営業はできないのでその時は休みにすることにして、とりあえず全力を尽くすことにした。油と汚れにまみれた汚水の中に肘まで素手を突っ込んで原因を探る。臭い。自分、何屋やねん。料理人ではやっぱりなさそうだ。
そして2時間後。
最後にたどり着いた汚水枡の中のある栓を抜くと、勢いよく水が流れ出した。
直った。

みるみるうちにうそのようにグリストの水位は下がり、モップで床の水を拭き取ると、もう水は滲みだしてこなくなった。
こうして、3日目も迎えることになった。

果たして夜9時ごろ、携帯が鳴った。「いま池ノ上の駅なんですけど」。前の店にも来てくれた、一之蔵カン太くん(仮称)であった。本当に、休みにしなくてよかった。ぼくは彼のために、1種類だけ置く日本酒は一之蔵にしてあったんだ。

***

オープンして3日が経ちました。
思うようにはいきません。思うようにはいかないだろうとは思っていたけれど、これほどまでに思うようにいかないというのは、想定の範囲をはるかに超えていました。
そして、「店を作るのは日記を書くのに似ている」と言い続けてきたけれど、この3日のできごとを振り返って日記を書こうとしてもどうにもうまく書けません。たぶん、言いたいことのうち2割くらいしか書けていない気がする。それはきっと、ぼくの店の完成度が2割くらいだということなんでしょう。
自信のないメニューがまだいくつもある。価格が適正かどうか見直さなきゃいけない。ドリンクのことは全くの手付かず。テーブルは10席あるけれど、10人を相手にしたら間違いなく死ぬ。厨房はただでさえ狭いのに収納がうまくできていないから余計に作業効率が落ちる。冷蔵庫の中もぐちゃぐちゃ。BGMがちゃんと流れない。ネットも引かなきゃ。開業届を出しに行かなきゃ。経理処理しなきゃ。やりたかったこと、しなきゃいけないことの、イメージの2割くらいしかできていません。
4月20日のつもりが、工事を終えてやっとこさ門を開けるだけでも1ヶ月延びた。たぶん本当に自信を持って営業していけるようになるまでにも少なくともあと1ヶ月はかかるんだろうな。それが店作りの第二フェーズであり、真のグランドオープンであり、「textile dining michi」という新しいサイトをオープンするのはそのときにすべきなのかもしれません。

そこまで、どうやったらたどり着くのか想像もつきません。何から手をつけていいかわからないくらい、何もかもが不完全です。
ただ、テラさんは言いました。「もがいてさえいたらいいんだ、前に向いてても後ろに向いててもいいじゃないか。お前が進む方向が、出口だ」「立ち止まるなよ」。逃げることはできません。完成度を上げていくとしたら、それには実際にお客さんを入れながら叩いていくよりほかないのだと思います。グダグダでもとにかく動いているうちに、少しずつ余裕ができてきて洗練されていくのです。


だからみなさん、よかったらぼくの店に足を運んでください。まだ2割ですが、それでもよかったら一度来て食べていってください。正直な感想を聞かせてください。言い方は悪いけれど、練習台になってください。甘えさせてください。
どんなにキツくても、誰かが来てくれるかもしれないと思うから店が開けられる。この3日で強く感じました。うまく書けなかったけど、この3日に来てくれたみんなには心から感謝しています。

ぼくは幸せ者です。ふつうの人は、最初に店を開けるときから道行く人をターゲットに商売を始めないといけないんだ。採点も厳しいし、来てくれるかすらわからない。練習台なんていったらぶん殴られるだろう。
でもぼくは、来てくれる人がいて、温かい目で見てくれるのがわかっているから、また明日もがんばれる。

工事もずっとキツかった。でも「ぼくの店を待っていてくれる人がいる」というのを支えになんとか乗り切りました。
「店に来るのが夢です」なんて言ってくれる人が何人もいます。もちろんその人の一番の夢ではないだろうけど、夢なんていう大げさな言葉を使って表現するくらいに期待してくれているというのは、ぼくの支えになりました。世の中に、自分のやっていることが他人に夢を与えることができる仕事なんてそうそうない。ぼくは幸せ者です。

計画では、新しいサイトを立ち上げていろんなところにPRするはずでした。でもまだそれはできません。計画ではもっとおいしい料理を出せるはずでした。でも改善しないといけないものもあるし、2つ3つオーダーが重なるととたんにクオリティが落ちます。
それでもよかったら、どうか店に足を運んでください。井の頭線池ノ上駅から、店の携帯090(1773)3319へお電話ください。5時ごろから、とりあえずは12時ごろまでやってます。店にはその前も後もずっといます。聞くと「最初は人いっぱい来そうだから外すよ」なんて言う人が多いけど、みんな遠慮しあって別に混んでませんから大丈夫。とりあえず客席だけはイメージの9割くらいはできたので、それだけでも見に来てください。

そうだ、もうひとつ忘れてた。あの梅酒を、オープン記念でみんなにふるまう計画だったんだ。店に持ってきてはいたけど、あまりにバタバタしてて出すのを忘れてた。おひとり様1杯無料でサービスしますので、ぜひ飲みにきてください。これだけは、間違いなくうまいです。

2割1分

2006/05/25

状況がどれだけしんどくとも立ち向かうことは本当に大事なこと。嵐の中で吹き飛ばされないようにしがみついているのが精一杯でも、しがみついているだけで知らない間に風雨を避ける方法を体が覚え始めるものである。
オープンして5日、最初は@店を開ける→A疲れ果てる→B寝るの繰り返しで一日が終わり、店を閉めた後に作戦を練ったり片づけをしたりするような気力はちっともなかった。やるべきことがたくさんあるのに、これじゃあいつまでたっても何も手がつけられないというのはどうしようもない焦りの大きな原因であった。

が。
いつの間にか。
気がつくと、冷蔵庫の中が片付き始めているじゃあありませんか。
意図したわけではないのですが、不要なものは奥へ、必要なものは前へ。まるで偶然生まれた首の長いキリンが結果としてより多くの子孫を残したがごとく、まさに適応的に冷蔵庫が自然選択されているのですよ。
最初のうちは何をどこに置いていいかわからず、当然どこに何があるかわからず、あれを探しているうちにこれをひっくり返したり溢れたり、それはもうしっちゃかめっちゃかだったのですが、それを繰り返しているうちに取りやすい場所に置くべき必要なものがなんとなくわかってきた気がします。
わかってきたので今日は店を閉めた後に思い切って冷蔵庫の中身を一度全部出して、棚の高さを変えて100円ショップのカゴなどを使って整理整頓しました。明日使ってみないとわからないけど、前よりは使いやすくなった気がする。そしてまだまだ物が入るスペースは意外とあることもわかりました。これまでは「狭くて物の置き場所がない」ということが最大の悩みだったのです。冷蔵庫は先カンブリア時代を経て古生代を迎えました。(約5億7000万年前。)
あと、音楽もきちんと鳴るようになりました。底石さんにMP3の入った外付けHDDをもらって、それをPCにつないでBGMにする作戦だったのですが、これまでは鳴らしているうちにPCが落ちてしまったり、そもそも狭い厨房の中にPCを置いておくのが邪魔でどうにもうまくいきませんでした。しかし水曜に海上くんが来てくれたときに携帯用MP3プレイヤーなるものの存在を知り、今日さっそくヨドバシに買いに行きました。COWONというどこの国かもわからない怪しいメーカー製ですが、ポイントを使ったら1ギガのものが9000円で買えました。MP3をそれに落としてアンプにつなぐと、あら不思議きちんと鳴るじゃないですか。これで客席は、雰囲気もいいしBGMも流れます。中生代です。(約2億2500万年前。)

メニューも、実際に動かしてみて改善すべき点が見えてきました。味的にも、品揃え的にも。例えば「ゆで野菜のバーニャカウダ」というメニューがあったのですが、これは今のところ削ったほうがよさそうです。バーニャカウダというのはにんにくとアンチョビとオリーブオイルの温かいソースで、ゆで野菜をそれにつけていただくという一品なのですが、まず第一になじみがないので誰も頼まない。そのくせゆで野菜用の野菜をキープしておかないといけない。いざオーダーが入ると野菜をゆでるのが非常に面倒。そして何よりも、ぼくの作るバーニャカウダソースは微妙においしくない。こりゃ削るよりほかありません。
ひとつの食材をなるべく複数のメニューに使えるようにして、提供時の作業をなるべく簡略化(というか共通化)することを念頭に、少しメニューを練り直しました。
味もだんだんよくなってきた気がします。というか料理をまずくする最大の要因は慌てて作ることであり、落ち着いて味見をしながら作ればうまくはなくとも食えないものにはならないはずなのです。少しは余裕が出てきたのかもしれません。

なによりうれしいのは、オープンからここまで5日間、なんだかんだいって毎日お客さんが来ているということです。友だちも来てくれるし、地元の人もどんなもんができたのかと覗きにきてくれています。外から一切見えない状態で日がな一日工事していた怪しい店は、近所でも気になる存在ではあったようです。12月におじちゃんの店がオープンしたときは毎日来客ゼロが続いたことを考えると、いまのところは順調と言えるかもしれません。超サイレントオープンなので今月の売り上げ目標はズバリ「来月の家賃」なのですが、それくらいはなんとかなりそうな気がします。今のところ。

営業時間は5時からと言っていましたが、6時からにします。オフィス街や繁華街なら5時でも人が入る可能性はあるだろうけど、うちの店の前は5時には高校生と予備校生しか通らないことが早くもはっきりしました。(もちろん6時より前に来たい人は、事前にご連絡いただければ相談の上対応させていただきますよ。)
メニューはとりあえず少し減らしました。あれもこれもと詰め込みすぎていました。それより今は確実にできるものを絞って揃えたほうがいい。余力ができたら完成度を高めて徐々に増やしたいと思います。これまでのお客さんの反応を見て、価格も一部変えることにしました。本当は日替わりメニューもやりたいのですが、ちょっとまだそこまでは手が回りません。ドリンクメニューは・・・とりあえず「JIN」とか「WODKA」は直しましたが・・・先カンブリア時代。(約40億年前から5億7500万年前。)

いよいよ週末を迎えますが、いまできる準備はできた、かな。どんとおこしください。

2割1分1厘

2006/05/26

きのうの日記に書いたように、さあ今日は金曜日だと勢いこんでいろいろ準備したのはよいのですが・・・フタを開けてみると、1名様のみであっけなく終了。あれ〜。

かと思うと、なんと明日の土曜日は貸切のご予約をいただきました!といっても、学校の友だちがみんなで来てくれることになり、それでです。ご祝儀みたいなもんです。
土曜日に行こうと思っていた人もいるのではないかと思うのですが。・・・いるよな。いると信じたい。いるのかなあ。いると思ったら今日は1名だったしなあ・・・。ま、それはともかく、明日27日は9時までは貸切ですのでみなさんご注意くださいね。9時以降なら大丈夫です。

このへんは微妙なもので、基本はガラガラなのに小さい店なのでちょっと団体さんが入ればすぐに満席になってしまいます。うまい具合にバラけて来客があればありがたいのですが、みんなが外食に出たい曜日・時間はどうしても重なるしね。難しいものです。
せっかく足を運んでくれるなら最悪でも満席でお断りすることだけは避けたいし、しばらくはなるべく電話で空き状況を確認したうえでご来店いただくことをお勧めします。ぼくもなるべく、ここでこうして事前に断りを入れるようにします。いずれはサイトで、チャットとかメッセンジャーを使って来店前に空席状況がわかるような仕組みにできたらいいなとか考えています。

とはいえ、満席のときに誰かが来たらどうしようなんて、贅沢な悩みですね。
そして今日も1名様とはいえ、この前の土曜のオープンから金曜日までちょうど1週間がひと回りして、地元の人にせよ友だちにせよ毎日誰かしらはお客さんが来てくれたということになります。これは思ってもいなかったこと。この看板もない穴ぐらみたいな店で、快挙といってもいいのではないでしょうか。しばらくはだれも来ずに自分の来し方行く末をじっくり考える日が続くと思ったし、そういう一息つく時間帯もあってほしいような気もしていたのですが、お客さんがいて忙しいというのは何ごとにも変えがたいすばらしいことです。

まあ毎日来客があったといっても来店ゼロじゃないというだけの話で、商業ベースにはぜんぜん乗っていないんですけど。そして恐怖の6月のカード決済も近づいてくるし、のんびり準備ばかりはしていられない状況です。でもこうして、少しずつペースをつかんでいければいいなと思っています。

ホームテキスト全過去ログ>2006年5月A

  
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