2つとないレストラン

2006/02/07

あれ、もう2月。豆も撒かぬうちに節分も終わってしまった。恵方巻きも食べてないよー。
なんつて、恵方巻きなんて食べたことないけど。節分などに頼らずとも福は内、今年の恵方は俺様の歩く方向である。

かどうかはわかりませんが、今年一年の成功を期して神社にお参りに行ってきました。1月の29日のこと。バタバタしていてタイミングを逃していたけど、初詣です。遅っ。
でも初詣に行かないのはなんとなく縁起が悪い気がするし。カレンダーを見たら1月29日が旧正月だったから、少しは正当性があるじゃない。

というわけで家の近くの神社へ。賽銭を投げ入れ、願い事は・・・。口にするとかなわなくなりそうで、ここに書くのはためらわれます。けど言わなくてもみんなわかるよね。

もちろん、世界平和だ!(違う。)

ちなみにおみくじ、「商売 利益少なし」。それは違わない気がする。


***


ようやく初詣に行けたくらいで、少しずつ余裕が出てきたのかもしれません。物件の決定・契約というひとつのヤマを超え、4月のオープンへ向けてさまざまなアウトラインを描いていっています。

まずは新しいサイトの輪郭。メニューじゃなくてサイトかよ、とお思いかもしれません。でもこれはぼくにとって非常に重要な要素です。ぼくの店は、ぼくのホームページから生まれるのですから。
サイト名は、「textile dining michi」。テキスタイル・ダイニング・ミチとお発しください。次のサイト名は「michi」ということはこのサイトの立ち上げ時から決まっており、そのときの「テキスト系台所」ということばをもう少し揉んで「textile dining michi」と決めました。
テキスト系台所を素直に訳せば「text kitchen」なんですが、それではちょっとかっこがつかない。textの派生語としてはtextileとかtextualとかがあるけど、textual(「原文の」)じゃ意味がわからない。
textileは「織物」といった意味で、これも「テキストサイト」というときの「テキスト」からはだいぶ離れています。でもサイトとリアル店舗の融合、みんなとぼくとの双方向性、友だちが集まり友だちどうしが友だちになっていくというぼくの願い、そういうコンセプトはtextileの「織物」という意味に合致します。
そんな、織物のように広がっていくテキストサイト。 michiとは道であり、未知である。これからのぼくらの未来が喜びと日記のネタに満ちたものであることを祈ろう。それが新サイト「textile dining michi」に込められた思いです。そしてそれがそのまま店名になります。

サイトを作り始めるのはもう少し先なのですが、もうドメインも取っちゃいました。また先日は専属デザイナー・やっしーにロゴデザインの作成を依頼し、その打ち合わせをしました。
ぼくが彼女を有能なデザイナーとして信頼している最大の理由は、まだ頭の中にたいしたアイデアが沸かないうちに相談しても、アイデアの断片から上手にこちらの意図するところを汲み取って提案してくれて、ぼんやりしたイメージを明確にする手伝いをしてくれるところにあります。
こちらが「ワカレミチとは違う色」「カントリーじゃなくてアーバン」「派手すぎずポップで」「なんとなく、部屋?」とか、現時点で思いつくままに単語を発すると、その都度彼女が棚からカタログとか本とかの資料を引っぱり出して「こういう感じ?」と聞いてきます。それを見て、これがいいとかこれはちょっととか話しているうちに、ぼくの中で目指す方向がだんだんとはっきりしてきます。まるで自由連想法による心理カウンセリングのごとく。
そうして打ち合わせをしていくうちに、もちろんまだ内緒ですが、サイトの大まかなデザインや配色が見えてきました。ロゴは、なんでも一朝一夕にできるものではなく2週間くらい頭の片隅で考え続けてようやく完成するものらしいので、あとはやっしー任せです。でも彼女が作るものは絶対にぼくのイメージを的確に表現してくれるはず。こんなことを書くとプレッシャーでまたやっしーの肩が外れてしまいそうだけど、でも彼女はこれまでぼくの日記をずっと読んできてくれて、ぼくが考えるであろうことはだいたいわかってくれているのです。そうして生まれる彼女のデザインに間違いはありません。(だから、のびのびやってちょーだい。)

忙しい中でもサイトデザインについての打ち合わせを優先させたというのは、とりもなおさずサイトがリアルの店舗の核になるからです。とくにやっしーとの打ち合わせではっきりさせたかったのが「色」。新しいサイトを何色にするか。それが決まったら、内装においてはサイトのイメージと同じものを再現していけばいいのですから。
内装は、経費を浮かすためにとにかくやれることは自分でやります。床、壁、天井あたりは間違いなく自作です。実際の作業はまだ先のことですが、下準備としてホームセンターへウインドウショッピングに行くことにしました。自作するとなるとどんなツールがあるのか、どんな色使いができるかを見ておきたかったのです。たまたま有給を取った底石さんを誘って、南砂町のドイトに行きました。
なぜドイトか。本当はジョイフル本田に行きたかったのです。なんたって東京ドーム3.3個分の広さですから。しかも平屋ですからね。3.3個、上に重ねろって話です。タイルやペンキや壁紙はもちろん、ドアや材木や玉砂利や、はたまたログハウスからフェレットまでなんでも揃っています。見て回るだけできっとイメージが膨らむことでしょう。
が、ジョイフル本田はなんたって遠い。千葉の奥地です。底石さんに車を出してもらうとしても、1日がかりの小旅行です。4時から店に出ないといけないのでちょっと無理。そこでネットで23区内のホームセンターで大きそうなのを調べた結果、南砂のドイトに行くことになったわけです。
しかし結論から言うと、南砂ドイトは全くの期待はずれ。サイトで見たら「駐車場900台」とか書いてあったから大きいと思ったのですが、実際にはジャスコの一角のワンフロアだけでした。900台というのはジャスコ全体の駐車場のことだったのです。期待していたような品揃えは全くありませんでした。次回やっぱり、おじちゃんの店を辞めてmichiの立ち上げに専念できるようになったら、覚悟を決めてジョイフル本田に行くことにしましょう。

ドイトでは小一時間も見れば用は済んでしまい、というかここでは用をなさないことがわかり、しょうがないので2人で昼食を。ショッピングセンターの中の安い焼肉ランチですが、夜に働いて休みがとれない身としては実に久しぶりの友人との外食で非常にうれしい。ビールも飲んでテンションが上がり、ぼくは彼に店のプランを熱く語りだしました。


まず、ぼくの店の中心となるのは、「真空調理」。名前だけなら聞いたことがある人もいるかもしれません。1979年にフランスで発明されたという、まだ新しい料理法です。
普通の料理は、たとえばローストビーフなら、(大雑把にいえば)まずフライパンで肉の表面に焼き色をつけ、それからオーブンで中まで火を通します。250度で30分って感じですね。ところが真空調理の場合は、焼き色をつけるところまでは同じですが、それからやおら肉を袋に入れて真空パックするのです。そしてパックの状態で、湯煎機に放り込んで加熱します。それも80度で50分とかです。
パックの状態で加熱すると、オーブン加熱と違い余計な肉汁が出ません。そして普通のオーブン加熱の場合は中まで火が通るころには外は焼けすぎの状態になってしまうのですが、真空調理のローストビーフは低温でじっくりと加熱するので全体がきれいなロゼ色に仕上がります。味も当然グー!
さらに、真空パックの状態で完成するため保存がききます。一度にたくさん仕込んで冷蔵しておいて、オーダーが入ったら袋を開けて温めなおして皿に盛るだけでOK。提供時のオペレーションを極限まで削減することができ、ロスも減らせます。
提供時の手間が減らせる、これがぼくの店にとって最大のポイントです。ぼくがずっと昔から悩んでいたことに「一人で店をやることの難しさ」があります。一人だけで営業している飲食店、みなさんはいくつ思い出すことができますか。あんまりないと思います。ぼくは人といっしょに働くのが苦手で会社をやめたわけですから、店を出すとしたらまずは一人でやる、と当然のように考えました。しかし、かつてデイブ・ムステインという人は「ギターを弾きながら歌うのは、歩きながらファックするくらい難しいぜ」と言いました。一人で店をやるというのは、料理もしてドリンクを作り会計してテーブルを片付けて洗い物をするわけですから、金のしゃちほこの体位でファックしながら手押し車の要領で歩きつつメガデスの歌詞の意味について考えるくらい難しいのです。そのへんの難しさについては今の店のレセプションでやっしー達が来てくれたときにも書きましたね。とにかく、普通のやり方じゃ絶対に無理。一人でやる店で、調理にかけられる時間はほんのわずかです。だから普通は一人でやる店といえば焼鳥屋とかラーメン屋とかの単品メニューか、もしくは酒中心でフードはつまみ程度しか出さない純粋なバーなどに限られてくるのです。
しかし、ぼくは一人でもラーメン屋じゃなくてレストランがやりたかった。しかもできれば、ただ冷凍加工食品をチンじゃなくて、そこそこおいしいものを出したい。その無理難題をクリアするのが、真空調理なのです。真空調理なら予め料理を9割がた完成させた状態で保存することができ、客前でオーダーを受けてからの手間は再加熱と盛り付けだけです。この調理法を学校の特別講義で習ったとき、ぼくは直感しました。これこそが、ぼくの店を現実化する鍵だと。その日からしばらく寝ても覚めても真空調理のことばかり考え、かたっぱしから資料をあさりました。ちょうどそのころがテキストマニアの大会期間中で、勝負テキストでも真空調理について書こうとしたくらいです。
日本の飲食業界でも真空調理は広まりつつありますが、積極的に取り入れているのはどちらかというと病院給食とかホテルの宴会部門とかの分野が多いようです。あとはファミレスのセントラルキッチンとか。一般のレストランでの普及状況などの資料はないのであくまで推測ですが、「真空調理」で検索して一番上にヒットするのは栄養士さんの個人ページですし、真空調理用の機械を扱うメーカーはどこも完全に集団給食におけるソリューションとして説明しているところから、そんな現状がうかがえます。日本においては真空調理の「大量の料理を事前に作っておける」というメリットばかりがクローズアップされ、むしろ大量生産のレトルト食品的なイメージでとらえられている向きもあります。
しかし真空調理は、フランスでフォアグラの調理法として発明され、三ツ星レストランのシェフのジュエル・ロビュションという人が広めたというくらいで、もとはおいしい料理を追及するための調理法なのです。真空調理を売りにしているレストランは日本にそう多くはないでしょうが、ぼくはそれを核に据えて店を作っていきます。

そして次なる武器は「パコジェット」。これはスイスの精密機械メーカーが作っている機械で、巨大なミキサーみたいなやつです。この機械のウリは、冷凍した食品を粉砕できること。専用のビーカーに食品を入れて凍らして、それを機械にセットしてこなごなにすることができます。
それにより、たとえばデザートがいとも簡単にできます。早い話が果物を凍らしてこなごなにして100%のシャーベットを作れるわけですから。カレーなんかも、ビーカーにブイヨンとカレー粉とたまねぎとりんごとトマトを入れて凍らしてパコタイズ(パコジェットにかけることを「パコタイズ」というw)しておいて、あとはオーダーを受けたら肉を焼いてパコタイズしたペーストを加えれば完成です。
これも、一人の店で最終調理の手間を減らすための有効なアイテムです。冷凍した状態で仕込んでおけるから、オーダーを受けて必要量だけ使ってあとは保存がききます。

新兵器はまだまだあります。お次は「エスプーマ」。ビストロスマップでキムタクが使うやつ、というので有名みたいですね。これは魔法瓶みたいな道具で、中に例えばオレンジジュースとゼラチンを入れます。そしてその魔法瓶にカートリッジをセットして炭酸ガスを注入します。よく振って中身を絞り出すと、オレンジジュースが泡になって固まった不思議食感デザートのできあがりです。
パコジェットもデザートに威力を発揮しますが、エスプーマは完全にデザート用。当店ではデザートに非常に力を入れます。夏にチェーン居酒屋でバイトをしていて、居酒屋でデザートは強力な武器になるということを感じていました。別腹ですから、デザートの品揃えがあれば最後にもう一品オーダーを取って客単価を上げることが可能です。それに季節の果物なんかを使ってバリエーションが出しやすいし、いつきてもみんなに違った味を楽しんでもらえます。デザートを揃え、ゆくゆくは昼間からカフェとして営業して夜は12時で終わりという真人間生活ももくろんでいます。まあそれはまた別の話。

これらをふまえて、ぼくは前に「日本に2つとない店」と大風呂敷を広げたのです。世界の最先端の調理技術が5.23坪に凝縮!という意味なのです。
「うちの裏にあるエル・ブジ」が当店のキャッチコピーです。エル・ブジというのは、いま世界で最も有名なレストランとの呼び声も高い、スペインの三ツ星レストランです。だそうです。よく知らん。
よく知らんけど、なんでもとにかくアバンギャルドな料理が出てくるらしく、白いシャーベットを食べてみたらトマトの味だったり、食器のかわりにスポイトを使ったり試験管を使ったり、厨房にコックのほかに科学者がいたり、1年のうちの半年は休んで研究室で料理の実験をしたりしているらしいんです。料理の実験てなんやねん。真空調理はもちろん、パコジェットやエスプーマといったハイテク機器系の調理器具を使った料理がエル・ブジの代名詞です。(エスプーマというのはそもそもスペイン語で「泡」という意味です。)
なんかおもしろそうじゃないですか。そういえばぼくは小学校4年のとき、科学クラブに入っていました。理由はただ一つ、科学クラブで作るべっこう飴が食べたかったから。そう、ぼくにも「料理の実験」の血が息づいていたのだ!
と、いうのはちと強引ですが。でもぼくが店でやろうとしているのも、感覚的には実験に近いですね。
だって、最終調理の手間を減らせるというしごく真っ当な理由はあるけれど、それらの技術を、ぼくはほとんど使ったこともないのです!
真空調理は学校で2回習ったことがあるだけで、真空調理用の機械は触ったこともない。パコジェットは、真空調理についてネットで調べていてたまたま見つけただけ。エスプーマは、パコジェットがエル・ブジで使われているらしいと知ってエル・ブジについてネットで調べていて、これまたたまたま見つけただけ。エスプーマが新食感といっても、実は食べたこともありません。
でもなんか、おもしろそうだから、それらを使って店を作ってみることにしたのだ。

とまあ、机上の空論以外のなにものでもない店なのですが、この作戦はあながち間違ってもいないとも思うのです。
うちの学校に、ヒゲハゲ先生という西洋料理の講師がおり、その人は日本の真空調理の第一人者的な存在です。彼に、店を一人で回すために真空調理をやるというアイデアについて相談したところ「おもしろいね、いいんじゃないか」とお墨付きをもらいました。先ほど述べたように真空調理はどちらかというと集団給食の分野で広く用いられており、5坪の店でやっているところはそうないんじゃないかと思います。ましてやパコジェットやエスプーマといった、料理人でも知らないような新技術を取り入れている店は、5坪の店では絶対にありません。「日本に2つとない店」。それだけでも、挑むべき価値は大いにあります。
会社を辞める前に占い師のところにいった話をしましたね。そのときに「あなたには四天王がついているからきっと成功する」と言われたわけですが、「だけどそのためには、あなたはこれから何かほかに『技術』を身に付けないといけない」とも言われていました。素直に考えればレストランで修行して調理技術を身に付けるということなんでしょうが、そのときぼくは自分に必要な「技術」とはなんとなく普通の調理技術のことではないような気がしました。だってぼくの頭の中にある店は、ほかの飲食店とは全く違う姿だったのです。だから退職しても素直に店に入らず、半年間いろんなことをやりました。その後もやっぱり店には入らずに調理師学校に通い、ようやくイタリアンレストランで働き始めたと思ったら一転、おじちゃんに誘われて和風居酒屋のホール長になりました。学校の調理実習はだれよりもまじめに受けているけど、実は店で働くいわゆる調理師としての経験値はちっとも積んできませんでした。
でも、包丁すらほとんど使わずフードプロセッサーなどを用い、ふつうの店では習えないような新調理技術を使い、ぼくは立派なレストランを作ってみせます!


***


「底石さんに語りだしました」という形式を取って書き始めておきながら、話がだいぶ広がってしまいました。
読むほうもたいへんでしょうし、今日の日記はこのへんにしておきましょう。
こういう話を友だちにしたりするのは、ぼくにとって非常に重要な作業です。言語化することでもやもやとしたイメージが具体化していきます。もちろん日記に書くのもそう。ワカレミチはぼくにとっての事業計画書です。

忙しいし、書こうとすると上のようにえらく長くなってしまうので、ちょっと日記の間が空いてしまいました。でもだんだんと具体化してきたのです。しばらくこうしたまとまりのない長い日記が間を空けて続くと思いますが、4月までに頭の中の全部を書くつもりなので、みなさん視力に気をつけて楽しみに待っていてください。
そして全部書き終えたころには、それが現実となってみんなに会えるはずです。

はてしない物語

2006/02/14

いま全力で取り組んでいるのは、店舗の設計です。店舗は客席と厨房に分かれ、その両者が密接に絡み合っています。この前書いたように店でやりたい使いたい器具はだいたい固まってきたので、それに基づいて厨房をレイアウトし、それ以外のスペースが客席ということになるから客席をレイアウトし、それらのイメージを業者さんに伝えて図面に落としていくのです。
と、言うは易し、行うは難し。
いざやってみると、厨房と客席のレイアウトはヴォルク・ハンとアンドレイ・コピィロフの試合がごとく。わけのわからない関節技の応酬で両者の足と足が絡み合い、どっちが極まってるんだか極まってないんだか判断できなくなってしょうがないのでレフェリーもブレイクを命じちゃう。両者スタンドから試合再開。すぐにもつれて再びぐちゃぐちゃとグラウンドの展開、そのうちハンもコピィロフも疲れ果て、足を絡めあったままマットに大の字になって二人とも宙を仰いでしまう。店舗の設計とはそんな作業です。

まず、厨房機器選び。
使いたい機械は決まりました。なんといっても真空調理!真空調理に最低限必要な設備は、真空パックをするための機械と、パックしたものを一定温度で加熱するための機械の2つということはヒゲハゲ先生に習いました。それらの機械のメーカーは、ネットで検索すればわりとすぐに見つかります。
そこでウェブの資料請求フォームや問い合わせ電話窓口からカタログを取り寄せます。しばらくするとカタログが到着します。いったいいくらくらいするんだろ?なにせうちの裏のエル・ブジを少ない予算で作らないといけないのですから、価格がわからないことにはお話になりません。
しかし・・・カタログには価格が書いていない!慌ててカタログの送達状に書いてある番号に電話して聞いてみます。この機械けっきょくいくらなんですか?
すると、冷たく言われます。
「失礼ですが、厨房屋さんはどちらですか?うちからは直接見積を出せないんで、厨房屋さんを通してもらわないと」
えーっと、意味がわかりませんが?

最初は、こんな感じで始まりました。
業務用のキッチンを作る工程には、個人のそれとは全く異なる独特の商習慣が存在します。個人なら、例えば初めて一人暮らしを始めるときは、まず電気屋に行っていろいろ見て回って気に入ったものを買ってきます。レンジはナショナル、コンロはリンナイ、冷蔵庫は日立かな、炊飯器は実家で使わないやつを持ってくるからいいや、そんな感じですね。
業務用厨房の場合も、さまざまなメーカーが作っているいろんな商品を比較して選ぶのは同じです。しかし、機器を作るメーカーと使うレストランの間には、それらの購入・設置・設計をまとめてオーガナイズする「厨房屋」というべき会社が存在します。つまり店は各メーカーから直接機器を買うのではなく、代理店となる厨房屋を通して買うのです。実際には、厨房機器メーカーの一部がそれを兼ねており、自社で作っているものと他社の製品を組み合わせて厨房全体の提案をしてくれたりすることが多いようです。
ようです、というのは、そのあたりの流れについては今でもよくわからないからです。今回のぼくの場合は、いまの店の出入りの厨房機器メーカーさんに最初に話をしたら、そこがやはりメーカー兼代理店で親身に相談に乗ってくれて、その流れで今のところやってきているというだけ。ほかの店が厨房をどうやって作っているのかは知りません。開業マニュアル系の本は腐るほど読みましたが、そういう肝心なところがどんな本にもちっとも書いてないんだよなあ。
とにかく、メーカーはぼくらに直接売る気はさらさらありません。カタログやホームページには絶対に価格が載っていません。直接問い合わせをしても教えてもらえません。まず厨房全体でいくらかかるかざっと把握したいのに、それすらもままなりません。
価格が載っていないだけでなく、業務用機器のカタログは個人のそれと比べるとお粗末この上ありません。写真と寸法とだいたいの機能が書いてあるくらい。しかも、個人なら上に書いたようにレンジとコンロと冷蔵庫と炊飯器くらいでこと足りるのですが、業務用となるとフライヤーだの食器洗浄器だの製氷機だのといろいろ物入りです。それどころかシンクや作業台といった根本のところから揃えないといけません。だからこそそれら全てを一括して面倒をみてくれる厨房屋さんは心強い存在なのですが、それら全てを検討するために厨房屋さんから取り寄せるカタログは膨大なものになります。さらに自分でメーカーに資料請求したものも加わって、部屋の床は瞬く間にカタログで埋まっていきます。でもそのカタログがお粗末。けどメーカーに直接問い合わせても満足な答えは得られず、厨房屋さんを通して問い合わせをしないといけない。もうぐちゃぐちゃ。
そのうえ、ぼくの場合は真空調理だのパコジェットだのと非常にマニアックな構成で厨房を作ろうとしています。厨房屋さんですら普通に知らない機器です。まず厨房屋さんに真空調理やパコジェットの説明をし、参考URLなんかを送ってあげて、自分でも直接メーカーに問い合わせて、その結果を厨房屋さんに伝えてメーカーを紹介して。いつのまにかぼくがメーカーと代理店との間の仲介をしていたりします。
こうして書いていてもわけがわからなくなるような、複雑な世界。今でも暗中模索しながら進んでいます。

幸いなことに、ぼくは現職でのコネクションがありなんとか厨房のチの字にたどり着くことができました。それがなければこの迷路に足を踏み入れることすらできなかったかもしれません。しかも現在の取引の延長で価格も安くしてもらって、リースも組んでもらって初期費用を抑えることができそうです。なんとなく出口も見えてきそうな気もします。
「ところで、機器だけじゃなくて、鍋とかまな板とか、飲食店で使うものならなんでもウチは扱ってるんですよ」と厨房屋さんが言いました。へーそうなんですか。でもそんなの、そのへんで買えばいい話じゃないですか。御社を通すメリットって何かあるんですか。
「それは、なんといってもリースに組み込めることですよ。こまごましたものでも、まとめて買うとけっこうな初期費用になっちゃうじゃないですか」
なるほど!開店までに1円でも節約したいこの時期、支払いを後に回せるなら大いにメリットがあります。食器なんかは現物を見ないと決められないけど、まな板とかレードルなんかはカタログからでも選べそうですもんね。今はそこまで検討する余裕はないけど4月まではまだ時間があるから、機器の構成があらかた決まったら備品類も可能な限り厨房屋さんにお願いしちゃおう。さっそくカタログ送ってください!
「備品のカタログは・・・ちょっと厚くなっちゃうけど、いいですか?」
それは十分承知してますよー。この前もらった機器の総合カタログだって軽く週刊誌くらいあったじゃないですか。
そして数日後、宅急便が届きます。厨房機器のカタログはどれもぶ厚いので、だいたい郵便ではなく宅急便で届きます。
しかし・・・備品のカタログは、週刊誌どころか・・・・広辞苑くらいの厚さがありました。
カタログに溺れて息ができん!

とまあこんな具合。
機器の価格は厨房屋さん経由でしか知りえないだけでなく、厨房屋さんに電話すると口頭で教えてくれるというものではありません。書面の正式な見積の形でないと開示してもらえないのです。やたら手間がかかります。
最初は価格も何もわからないので、まず御社のこれとこれとこれ、それから御社で作ってないものはあのメーカーのあれ、といった具合に適当に厨房屋さんにオーダーします。厨房屋さんが各メーカーに見積を取り、それらを取りまとめて(自社のマージンを乗っけて)一つの見積にしてくれます。見て、腰を抜かします。
さすがにドロアー式冷蔵庫とスチームコンベクションオーブンと電磁調理器3口コンロは欲張りすぎかー。じゃあドロアー式冷蔵庫はあきらめよう。スチコンのかわりに湯煎式加熱調理機にして、オーブンは家で使ってるオーブンレンジを持ち込もう。電磁調理器は2口+ガス1口だとどうだろう・・・。そうやって、少しずつ条件を変えて何度も何度も見積をもらいます。だんだん必要な機器の価格がつかめてきて、理想の厨房の構成と現実の予算との折り合いを、少しずつ、少しずつつけていきます。

しかし、だいたいの構成が決まってきたところで、こんどはそれらを物理的に配置することを考えないといけません。これはみなさんにもイメージしやすいと思います。どこに何を置くか考えるのです。
そして物件は、5.2坪と狭いのです。天井も低いです。そのくせに、わけのわからない機械がたくさんあります。ふつうに配置していくと、うちの店はただの厨房機器ショールームになります。つまり客席が取れない。
そこで、また別の苦しみが生まれる。限られた厨房に、なんとかしてバカでかい厨房機器たちをねじ込まないと!
電磁調理器は、いっそのこと家庭用のやつにしてみたらコンパクトになるんじゃないか。値段も安いし。フライヤーは・・・いらないや置く場所ないもん。揚げ物は揚げ鍋に油を入れて火にかけてやればいいじゃん。客席数はそんなに多くないんだから、洗浄機も製氷機もいちばん小さいやつで十分だろう。あ、ここに棚を作ってレンジを置けばいいんじゃないか?

こうした機器選び・レイアウトを、全て自分で考えます。パワーポイントで厨房の縮尺図を作り、そこに機器類に見立てた箱を置いて、ああでもないこうでもないと並び替えたりしています。絶対に欠かすことのできない機器を組み込み、できるだけ安く、客席を減らすことなく、それでいて作業効率を損なうことなく。三拍子も四拍子もそろった厨房を作るために、気の遠くなるようなパズルの繰り返しです。
もちろん厨房屋さんも基本設計から提案してくれましたが、その点では残念ながら全く役に立ちませんでした。ラーメン屋や洋食屋や、やることが決まっているよくあるスタイルの厨房なら彼らもお手の物でしょう。でも真空調理の厨房は、真空調理のことを知らないと作ることができません。ましてやぼくの店は「2つとないレストラン」なのです。作れるのは、世界でぼく一人だけなのです。

まだまだこの苦しみは終わりませんよ。10分の1くらいです。
厨房のめどがなんとか立ったら、客席をレイアウトしていかないといけないのです。
客席が決まったら、メニューを考えないといけません。
返す返すも幸運なのは、家賃を払い始めるのが遅ければ4月からでいいということ。時間だけはたっぷりあります。わからないなりに時間をかけて考え、ひとつずつ解決していけばいいのですから。
これが、もし賃料の発生が押し迫っていたら。もしくはすでに発生してしまっていたとしたら。厨房と客席とメニューを大急ぎでいっぺんに考えないといけないのです。はっきり言って無理。厨房と客席も、客席とメニューも、メニューと厨房も、密接に絡み合って関節技バトルロイヤルなんですから。
ああ今ですら、日記に書ききれません。もどかしい。実は現状は、上に書いたような試行錯誤の段階から、少しだけ前に進んでいるのです。


けれどもこれはまた別の物語、いつかまた、別のときに話すことにしよう。

ただ一つ

2006/2/23

みんなに、ぼくは助けられている。何もわからない中で店を作ろうとするうえで、心から実感していることです。
ぼくが自分の店を持つための勉強の場を与えてくれたおじちゃん。協力して応援してくれる友だち。いくら感謝しても足りないくらいです。

そしてぼくの店には、普通ではちょっとありえないような豪華なブレーンの数々が味方についています。
まず、コンサルタントのロバート先生。彼に最初に出会ったのは1月のこと。学校で「失敗しない飲食店の経営方法」という単発の特別講義があり、その講師としてやってきた方でした。
ちょうどそのとき、ぼくはいよいよ自分の店をやろうとして動き始めていたころ。手始めに家の裏の空き物件について不動産屋に問い合わせてみたら、思いもかけず家賃が安くて即断で申し込んだあのころです。ひょっとしたらここで自分の店をやることになるかもしれないと思ってウキウキしていたところに、経営についての特別講義があるというのだからなんたるグッドタイミング。
講義の最初にロバート先生が教室を見渡し、「この中で将来、飲食店を開きたいという人はいますか」と聞きました。ぼくはそりゃもう、勢い込んで前のめりに手を挙げました。意外なことにほかには誰も手を挙げる人はおらず、彼はぼくに向かって「どんな店をやりたいんですか」と話しかけてくれました。
まだ、初期の初期の段階だったので一瞬答えに困りましたが、ぼくは元気よく「ダイニングバーです!」と答えました。(ダイニングバーのなんたるかはよくわからないのですが、店の業態を問われたときにはそう答えることにしていたのです。)ほう、と彼はうれしそうにうなずいて、それからの講義は「ダイニングバーなら客単価はこれくらい」というふうに、ぼくの店に役立ちそうな情報をふんだんに織り交ぜて進行しました。はっきり言って、彼は大きな教室の中でぼくだけに向かって話をしていました。いるように感じました。なにせ、前のめりに倒れてしまいそうな追い風ラッシュに包まれていたころ。世の中の全てが俺様の店を実現させるために動いているように思えたのです。そしてその追い風のひとつが、彼との出会いでした。
講義が終わったあと、ぼくは彼のところに行っていくつか質問をしました。そして、卒業したら開業するつもりで物件も決まっているという話をしました。すると彼はうれしそうに、「うちの会社で無料相談もやっているんで、よかったら連絡ください」と名刺をくれたのです。
それからぼくは彼にメールを送り、実際に彼のところにおじゃましていろんな相談をするようになりました。最初に彼のオフィスに行って物件の現況の写真と平面図を見てもらったときに、彼は「こりゃまた、色気のない店だねえ」と笑いました。そしてその色気のない箱に、色気を吹き込むためのアイデアをいくつも与えてくれました。
うちの学校の外部講師には、かなり有名な人が数多くいます。ロバート先生も外食産業コンサルティング会社の社長で、何冊も本を出しています。そんな人の講義を受けれるだけでもラッキーなのですが、相談したら、いったいいくらかかるのか。怖くて聞いてみる気も起きないのですが、彼は「ぼくも楽しいから、気にしなくていいよ」と言いながら快く相談に乗ってくれます。

もちろん、学校の実習の先生もフル活用です。発注担当の先生には仕入先を紹介してらったし、日本の真空調理の第一人者である西洋料理のヒゲハゲ先生には、もはやストーカーのようにつきまとって質問攻めにしています。彼はうちの学校の講師の中でも売れっ子の一人なので、メディア関連の仕事や来客も多くなかなかつかまりません。だからぼくは夜間部の生徒なのに昼休みを狙って職員室に押しかけたり移動のために階段を駆け上がる先生の後ろをついて回ったりして、「加熱はスチコンと湯煎ではどっちがいいんですかね?」「ブラストチラーなんて置く場所も金もないんですけど、かわりに真空にかける前に袋ごと氷水に浸けて冷やせばいいですよね?」などと聞いています。5坪の店で真空調理をやるというおそらく日本初の試みは、彼のアドバイスなしには考えられません。

こうしていろいろな人の助けを得て、少しずつ店の形を作っていっています。
いま、どこへ行くにも持ち歩いているものの一つにものさしがあります。そしてメジャーも。もちろん店の平面図も持っていて、学校のつまらない授業中や店のお客さんがいない時間なんかには平面図とものさしを取り出してあれやこれやと店のレイアウトを考えるのです。また2階の店では、メジャーでありとあらゆるところの寸法を測りました。テーブルやイスの寸法はもちろん、通路の幅やイスからテーブルまでの高さなど。
もちろん、自分の店のレイアウトのためです。店舗設計のマニュアル本なんかにも「テーブルの幅はこれくらい」「通路はこれくらい」と書いてあるのですが、本で読むだけでなく自分が実際にお客さんを動かしている場所で寸法を実際に測ってみるととても役に立ちます。例えば、2階の店のテーブルは幅90センチです。そのテーブル1台に横2人で座ると、入らないことはないけどちょっときつい。テーブルを2台くっつけると、3人で座ってちょうどいい感じで、2人では逆に広すぎてお客さんが落ち着かない感じになる。ということは、90÷2=45センチが客席一人当たりに必要な横幅の最低限で、90×2÷3=60センチがベストな幅、90×2÷2=90センチだと広すぎ、ということになります。イスの後ろにどれくらい通路があれば人が通れるのかとか、隣のテーブルがどれくらいの距離だと気にならないとか、カウンターの幅はどれくらいあれば余裕を持って食器が置けるかとか、そういう距離感が実感として把握できます。厨房機器なども、カタログの寸法を見ているだけではイメージしづらいので、実際に使っているものを測るに限ります。このサイズの食器棚ならこれくらいのものが入るのだから、ぼくの店ならあれくらいのサイズがあればいいだろう。等々。
最近じゃ自分の店だけでは飽き足らず、外で飲食店に入るとまずメジャーを取り出してあちこち寸法を測ります。2階の店は実際にはイスではなく座敷なので、イスに座ったときの空間の具合とは少し異なります。イスからテーブルまでの幅が35センチだと肘をついて酒を飲む感じだな、25センチだと逆に腰を落ち着けて食事をする感じだな、いろんなことがわかります。店に入らなくても、たとえば通りがかったスタバの外のテーブルなんかで寸法を測っちゃいます。とても怪しい人です。
もちろん、自分の店での実測も日課です。店は家のすぐそばで、家賃の発生は4月からですがもう大家さんにカギをもらって自由に出入りする許可を得ています。最初は家から近いのは単に通勤が楽だなあというくらいにしか考えていなかったのですが、それがものすごいメリットだということが日を追うごとにわかってきました。設計をしている現段階では、基本的に図面を見ながらあれこれ考えているのですが、気になるところがあれば24時間いつでも店に行って確かめることができます。ただ、真夜中に空き物件に一人しのびこみ黙々とメジャーで寸法を測る男の姿というのは、客観的に見るとちょっと不気味ではあります。オープンまでにご近所でおかしな噂が立たないことを祈ります。

いろいろ測りまくっているうちに、今ではだいたいのテーブルは測らなくても即座に縦・横・高さがわかるという特殊能力が身につきました。犯罪を目撃したときなどに役に立ちそうです。
またいつのまにか、寸法をセンチではなくミリで把握するようになってきました。物件の契約をして最初に自分で平面図を作ったときには寸法はすべてセンチで書き込んでいて、それを見たエイト・アローズ・カフェのハチヤさん(仮名)に「これからはセンチじゃなくてミリで書いたほうがいいよ」と言われたものです。たしかに、内装屋があげてくる平面図も厨房機器のカタログも、単位はすべてミリなのです。日常生活ではある程度の大きさのものはミリではなくセンチで認識するのがふつうですから、最初はその違いにだいぶ戸惑いました。しかし今では、「身長は?」と聞かれたら即座に「1760ミリ」と答えるでしょう。こんなところからも、「店をつくる」という作業に脳がシフトしていっているのを感じます。

まず現況の平面図を、穴が開くほど眺めて書き込んで機器や席の配置を考える。それをいろんな人に見せて意見を聞く。まとまってきたところで内装屋にイメージを伝えてまた平面図を作ってもらう。それをまた眺めて書き込んで、意見を聞いてまとめて。そうして頭の中で、図面の中で、実際の店の中で、果てしない採寸・配置・検証を繰り返してベストのレイアウトを模索していきます。
ときどき、というか1時間に1回くらい、頭がこんがらがって何もかも投げ出してしまいたくなります。なにせ金はない、物件は狭い、置くべきものは多いの3重苦です。もう少し金があったらなあ、広い店だったらなあ、とついついないものねだりをしてしまいます。頭の中ですばらしい店を思い描いて、それからカギを持って実際の物件に入ると理想と現実のギャップに愕然とすることもあります。狭い。汚い。天井も低い。なにせ前のテナントが2ヶ月で退去したくらいで、はっきりいって飲食店には不向きな箱です。こんなところにステキな店なんて、作れやしない!
最初に内装屋と厨房屋に見積を取ったら、それぞれ250万と400万であがってきました。店舗取得費が120万だったから、合計で770万。その他もろもろ合わせると、ここで開業するのに少なくとも800万はかかる計算です。300万で店なんて、できやしない!
しかしそうはいっても、もはや計画はスタートしているのです。やるしかありません。最初に相談したとき、ロバート先生は「この広さで、この予算で。店を作るのは、頭を使うよ」と言いました。800万に500万足りなかったら、その500万は頭で稼ぐしかないのです。
ぼくは自分の頭を信じ、むちゃくちゃ勉強しました。ぶ厚い厨房機器のカタログをかたっぱしから読んで、置くべき機器のサイズは全て覚えてしまいました。「この冷蔵庫は、ドアを開けると奥行きは・・・」とカタログをめくる厨房屋さんに向かって「1047です!」と即答し舌を巻かせました。西にホームセンターがあれば、行ってタイルやペンキを見て回りました。壁や床や天井の造作を自分でやれば、だいぶ内装工事費が節約できます。東にインテリアの展示会があれば、やっぱり行って見て回りました。気に入ったものがあれば、それと似たものを自分で作ることにしました。頭の中で、それこそ何億通りのレイアウトを考えました。この箱の中に、求めるものが全て収める正解はきっとただ一つしかない。知恵を絞って絞ってそれを追い求めています。

そして、徐々に店のレイアウトができてきました。だんだんと完成に近づいてきた平面図をロバート先生に見せると、「・・・ずいぶん店らしくなってきた」と言ってくれました。最初は気に入らないところもあった物件が、今ではとても素敵な空間に見えてきました。(頭の中では。)
そう、店らしくなってきました。厨房内には、狭い空間をフル活用して入れるべきものを全てはめ込みました。作業台の下、機器の上、無駄なところは少しもありません。厨房のレイアウト図を見てロバート先生も「オタクだねえ」と笑いました。なにせ真空調理にパコジェット、電磁調理器でほぼオール電化の最新技術満載です。でも、「なんとか、うまいこと収まったね。まるでプロが設計した厨房みたいだ」とも。

その、店のレイアウトやそれを作る過程について、もっと詳しくこの日記に書こうと思ったのですが・・・複雑すぎて長すぎて、どうにも書けません。5日くらい書きあぐねていて、これ以上溜めると体に悪いのでついに諦めて中途半端な形ですがアップすることにしました。
もうじき学校も終わり店も終わり、全てを自分の店のために注ぎ込むことができる環境になります。そうしたらまた日々の経験を日記に書き、整理しながら店を作っていくという本来のペースに久しぶりに戻ることができるでしょう。そして店ができたら、実際にみんなに来て見てもらえばいいのです。
どうにもバタバタした日記で申し訳ないのですが、いまただ一つだけ言えること。店のレイアウトが、できてきました。

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