というわけで過去日付の日記から、ひっそりと始まりましたワカレミチ新章。学校も再開し、ようやく一日3バイト生活に別れを告げて@昼はレストランでバイト→A夜は学校というまっとうな人生になりました。
レストランでの仕事の話はこれからおいおいじっくりとお伝えするとして、10月になったらようやく時間に余裕ができる、かと思ったら意外とそうでもないんですよね。
レストランではランチが終わって3時くらいにあがり、かと思っていたのですが、フタを開けてみると月曜も火曜も5時まで働かせてもらいました。勤務が10時半からで、もちろん早めに行って10時には働き始めているので7時間休憩なしで働きっぱなし。ちょっぴりキツいです。5時まで働いて、食事して着替えて6時半から学校ですから、あんまり空き時間はない。実習の日なら一日立ち仕事ですわ。間に日記を書こうと思ってノートパソコンを持っていっているのですが、ここ2日は役に立たず。
でも想定より2時間多く働けるとなると、一ヶ月で3〜4万は収入が違ってきますので、これは超ラッキー!
あと食事。オープン後とバイトの後に、確実に2食はまかないが食べれます。さらに今日は学校の実習だったので夕食にもありつきました。食費がほとんどかかりません。
食事がほとんどスパゲッティになるのが悩みのタネですが、こうなると和洋中製菓製パンと幅広く学べる我が校の強みが夕食に発揮されます。今日は中華でした。米が食えました。料理がなんだったかとかいうより米がうれしい。
それに朝はふつうの人よりゆっくりですから。家も近いし。朝9時半に家を出て、夜11時に帰ってくる。忙しいサラリーマンよりはよっぽど楽なスケジュールです。
なによりも楽しいので、疲れはちっとも感じません。
あとは7日に学費の支払いが・・・なんだか急に疲れてきたので、今日はもう寝ることにしましょう。
学校も店も、調理関係の現場ではヒゲ・長髪・茶髪・ピアスは禁止というのが普通です。学校では、ピアスは座学のときはOKだけど実習のときはNGとか、だいたいの線引きがあります。
ヒゲ・長髪が禁止というのはわかる気がします。不衛生っぽいですからね。でも長髪がNGなのは男だけだし、そもそも頭髪の脱落防止のために帽子やバンダナをするわけだし、実はそのへんの理由はあってないようなものです。
そして学校にはヒゲの先生もいます。一度学校の仕事でフランスに行ったときに貫禄をつけるためにヒゲをたくわえていったら異常に似合っていて、以来トレードマークになってしまい校長から唯一ヒゲを許されているそうです。その程度のものです。
茶髪にいたっては衛生面とは全く関係なし。ただ就職のときに大手のホテルなどではかなり厳しく髪の毛の色の基準が設けられており、学校もそれにならっているのだそうです。
というわけで調理関係のそのへんのルールというのは非常に観念的なものなわけです。
別にそこに噛み付こうという気はありません。就職先が茶髪を禁止している以上学校でもそれを認めるわけにはいかないでしょう、長髪の人が料理を作っていたら不衛生だと感じるお客さんがいるとすれば「いや毛髪の脱落防止のためにバンダナをしていますから」などと説明することもできません。
しかしそのへんの理由というのはやはり観念的であり実際的なものではないわけで、ルールの適用度合いは現場によってかなり違います。うちのレストランはわりとゆるい方で、うちの店の店長はロン毛だし、社長からして金髪にパーマです。
が、ピアスをしている人はなぜかいない。最初はぼくももちろん外していましたが、だんだん慣れてきたので一度社長の前で付けたまま働いてみたところ、特におとがめなしでした。いけるかなと思ったのですが、しかし他の人に注意されて「忘れてました」と慌てて外しました。ううむ。
どうやら、長髪・茶髪はいいけどピアスはダメというのがうちの店の線引き、ということになりそうです。
調理にピアスはダメ、というのも実に観念的な決まりです。いちおうピアスホールが不衛生だからという理由がありますが、鼻の穴だって同様に不衛生です。触らなければいいだけの話です。そして穴が開いていてもピアスを外していればOKなのですから、その理由もないも同然です。
うちの店長がロン毛で働いているように、長く働いて発言権が出てきたらだんだんとなしくずせるかもしれませんね。でもペーペーのいまはそんなところで冒険はできません。
一緒に働いている若い人たちも、以前は相当やんちゃをしていた人もいるようで、ぼくがピアスをしているのを見ると「俺も昔は開けてましたよー」と懐かしそうに口々に言います。拡張してたとか6個くらい開いてたとか。
でもみんな、調理師学校に入りこの仕事について、いつしかふさがってしまったと。だって外せばOKとはいえ、つけたり外したりするのは面倒ですからね。つい外しっぱなしになって、そうするとご存知のとおりピアスの穴はあっという間にふさがってしまいます。
いまぼくは、ピアスをつけて店に行き、着替えるときに外して、そして終わったらまた付けて学校に行くということの繰り返しです。これまで昼の仕事ではスーツでもピアスをしていて、外すのは実習の週2〜3回でよかったのですが、こうして毎日付けたり外したりとなると非常に面倒くさい。しかも学校に行っても実習ならまた外さないといけません。一日のうちにつけているのがほんの数時間ということもあり、正直いったい何のためとも思います。
しかし、このピアスはサラリーマンを辞めた記念にということで、28にもなってわざわざ開けたもの(リンク先は今は亡き隠しページw)です。大げさに言えばぼくのポリシーのようなものなのです。
いい年こいてと思われるかもしれませんが、これまでの自分とは違うのだという決意や、他人とは違っていたいという意思や、単なるファッション感覚ではない重みがあるのです。
毎日付けたり外したりするのは面倒ですが、でも決してふさがない。
店で長く働くうちに、ついついその店に染まりすぎ自分を失うこともあるかもしれません。でもそうなると、仮に独立できたとしてもその店以上のものはできないでしょう。
ぼくがやりたいのは自分の店であって、だれかがやっているのと同じことをしたいわけじゃない。
それを忘れないためにも。毎日外して身を粉にして一生懸命働きます。そして働き終えて付けて、一日一度は自分に戻りたいと思うのです。
この穴は、耳ではなくハートを貫いているのですよ。
やっしーからメールをもらいました。
「ノンちゃんのお食い初めをやろうと思うんです」
おくい・・はじめ・・・?聞いたことないなあ。
でも・・・聞いたことはないけど、何をするかはわかるぞ。
やっしー&ゼンデンの愛娘・ノンちゃんが、生まれて初めてものを食べるのだ!
というわけで、あの陰嚢祭りの地でもある目黒・やっしー宅に集まった、160/160・マイティ&チンプイ、ぼくの4名。
なんでもお食い初めというのは、「おくいぞめ」と読み、赤ちゃんが生後100日くらいのころに初めての食事をさせるという儀式なんだそうです。子供がいる人でもなければ知りもしないかもしれませんが、チンプイも「自分のお食い初めのときの写真が家にある」とのことで、ぼちぼちメジャーなイベントのようです。
もちろんまだ離乳食も始まっていない赤ちゃんなので、あくまで食事のまねごとです。
ですが、やっしーが儀礼にのっとって揃えた、鯛・汁ものなどのノンの盆はかなり豪華。これらを、箸でノンの口に運んで食べさせる真似をします。

それを大人たちが寄ってたかって写真に撮ります。お食い初めとはどうやらそういう儀式のようです。「一生食べ物に困らないように」という、謙虚なんだかそうじゃないんだかよくわからない願いがこもっているそうです。
儀式の食事セットの中には鯛などのほかにもなぜか「神社の石」というのもあり、それも口に運ぶ真似をするのですが、ノンは石はもちろん食べません。しかし食べ物は、いい匂いもするし口に持っていけばひょっとしたらひと口くらい食べちゃうんじゃないかとぼくは思ったのですが、赤ちゃんはちっとも食べませんね。大人にとってはおいしそうに見える鯛も「ぷい、こんなもん食えねーよ、ミルクくれよー」とノンは同じ反応です。もう少しすれば喜んで食べるようになるんだろうに、赤ちゃんにとってはまだ石も鯛も同じに見えるのでしょうか。ちょっと不思議です。
というわけで儀式は、あくまで一口ずつのまねごとで、あっという間に終了。
そこから先は、母乳が打ち止めになって酒が解禁となったやっしーも含め大人たちは酒を飲み、酒の飲めない160/160さんは得意の子供あやしのスキルを発揮してノンを抱いてベランダにたたずみ。いつものやっしーごはん会の様相となってめいめいの得意分野で楽しんだのでした。
ところでぼくの得意分野と言えば、酒!・・・はもちろんそうで、たらふく飲んだのですが、料理ですよ料理!
ノンのお食い初めという記念すべきイベントに、ぼくはとっておきの祝いの料理を用意しました。
タイトルは「塩●鶏」。●は火ヘンに局。イェンジュヌジと読みます。もはや漢字が変換できません。この前の中華料理の実習でやって、これは本日のイベントにぴったりと思って披露することにしたのです。
まずは中華鍋にいっぱいの油を熱して、その中で丸鶏に油をじゃんじゃんかけて揚げる!

酔っ払っているし鶏が超でかいので手元が狂って油がざぶざぶ溢れますが、そこは溢れる祝いの心ということで勘弁してください。
そして鶏がこんがりと揚がったところで、蓮の葉で包みます。そして塩釜で焼く。つまり、蓮の葉でくるんだ鶏の周りに1キロもの大量の塩を塗りつけてオーブンに入れるのです。もちろん塩だけでは塗れやしないので、塩に卵白を混ぜてこねたものを使います。

丸鶏+蓮+塩でかなりの大きさ。祝いムードも膨らみます。しかし、大きすぎてなかなかやっしーの家のこじゃれたオーブンには入らなかったり、加熱しているうちに塩釜が想定以上に膨らんで天板からぶくぶくと溢れ出したりと、そりゃあもう大騒ぎでした。
言い訳させていただくと、ぼくは手に傷があったので塩釜作りをやっしーに頼んだのですが、塩に混ぜる卵白の量をぼくは「春スキーくらいに」と絶妙の言語化具合でオーダーしたにも関わらず、ウインタースポーツに疎いやっしーは「雪解け間近くらいに」ゆるく作ってしまい、だからあんなに膨らんだんですよ。あとはまあ溢れる祝賀ムードということで多めに見てください。台所を汚してすいませんでしたね。
とまあ、そんな大騒ぎの末に、オーブンから出てきた塩釜はいい具合に色づいています!

これだけでも祝賀ムード満点なのですが、さらにオーブンに入れる前に指で「のどか」(ノンの本名」)と書いてあり、それが塩釜にくっきりと浮かび上がっている!・・・はずなのですが、大きすぎてオーブンに入れるときに天井にこすってしまったのでそれは消えていました。
気を取り直して部屋の電気を暗くして、塩釜の上におもむろにリキュールを振りかけ、チャッカマンで点火!
すると、塩釜が炎で包まれます!

写真には火事寸前の火柱しか写りませんでしたが。
うーん、思い出してみてもなんて大掛かりな料理なんでしょ。こうしているうちにも160/160さんは「まだかよー」と催促しきりです。ノンはとっくに寝ています。
しかし、これでようやく完成。最後の炎なんてのはただのデモンストレーションですのですぐに消して、カチカチになった塩釜をトンカチで叩き割って、蓮の葉を裂いて、ようやく再会した鶏を取り分けて食べます。

すると・・・塩釜の塩味と蓮の葉の香りが鶏に移って、こりゃうめえ!
そして丸鶏をナイフで取り分けると、鶏の腹の中にはなんと、豚肉とザーサイの炒め物が詰め込まれているのですよ!こちらは塩釜で閉じ込められた鶏のエキスを十分に吸って、これまたうまい。
あと塩釜で卵白を使い卵黄が余ったので、それでデザートにクレームブリュレを作りました。こちらも最後に表面にリキュールをふりかけて火を着けキャラメリゼさせるという演出のつもりだったのですが、予想に反してちっとも表面はパリッとせず拍子抜け。でも味はなかなかでした。
やっしーに「何か作ってよ」と言われていて何にしようか考えて、ここはやっぱりイタリアン、とも思ったのですが、そういうのは毎日見飽きているので思いっきり期待を裏切ってコテコテの中華料理にしました。
忙しい中だったのですが、ネットと電話帳を駆使して東京中の中華料理食材店に電話をして日本橋で蓮の葉を仕入れました。

そして当日は丸鶏を買いに行って、ザーサイの炒め物を腹に詰めるところまでは家で仕込み、やっしーの家には大きめの鍋がないというのでわざわざ中華鍋まで持参して、かなりの気合でした。
一方で油やら卵白やらが溢れ出してキッチンはしっちゃかめっちゃか、気合も空回り気味だったのですが、でもけっきょくおいしかったし楽しかったからいいよね。一同ご満足いただけたのではないでしょうか。
ノンも、自分のお食い初めなのに食べさせてはもらえないのですが、でもお客さんがいっぱいでご機嫌だったようです。
ぼくの料理はやっしーごはんをさんざん食べた後にようやく完成したので、みんな腹いっぱいでけっこう残してしまい、ぼくはそれがちょっと心残りだったのですが・・・。
次の日にやっしーからメールがきました。
「鳥の骨はダシを取ってナンプラーで味つけてスープに。具と肉は緑野菜をプラスして炒め物に。立派な夕飯になりました」
すばらしい!
丸鶏さんも、そこまで食べ尽くされれば本望でしょう。
こうしてきちんと料理をする母親に育てられ、そして自分も料理を楽しめるようになれば、ノンはきっと「一生食べ物に困らない」素敵な大人になることでしょう。これぞお食い初めの原点です。
そしてノンよ、みんなで食べること、これがまたおいしいんだよ。
もう少し大きくなって、ミルク以外のものも食えるようになったら、またみんなで集まってなんか食べようぜ!
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