少年よ大志を抱くのはいいが

2005/5/11

2年次から集団調理という授業が始まりました。集団調理とは、学校給食や病院食など、特定多数に向けた食事を提供する分野のお仕事です。メニューや客数が限定され、また栄養バランスなどの計算も重視され、不特定の来客を相手にして嗜好性の高い一般の外食産業とは若干性質が異なります。

集団調理は1クラス60人が半分ずつ実習と座学に分かれ、実習班は30人で120食分を作ります。それでも実際の集団調理に比べれば少ないほうでしょうけど、いつもの実習が6人班で6食分、つまり自分が食べる分しか作らないのに比べればスケールは大きいです。

1学年が2クラスあり、1クラスの半分ずつが実習を行うので、実習が回ってくるのは4週に1回です。ぼくはまだ体験していないのですが、実習があったクラスメートによるとやたらと食材の量が多くてウケるとのこと。肉なら肉、米なら米と係が決められてそればっかりやるので退屈みたいですが、実習室はそこかしこにポリバケツいっぱいのもやしやらサニーレタスやらが溢れているそうな。

2クラスの4分の1が120食を作るので、残りの4分の3の人は実習をせずにその弁当を食べることができます。実習はとにかく忙しくハードという話ですが、残りの人にとっては単なるお弁当の日。
座学を受けていて9時すぎになるとおもむろにコンテナを積んだ台車が教室にやってきて、こんな弁当が配られます。



この弁当は「20歳の男性」を想定して栄養計算がされているそうでけっこうボリュームがあるので、ぼくはデフォルトで周りから分けてもらえます。



ということで満腹、しかもふだんの実習と違い急いで食べたり片付けを気にする必要もない。集団料理の日は、平日には珍しい実に優雅な夕食なのです。


でも集団調理の座学の部、これはかなり退屈です。冒頭でも述べたように、集団調理には栄養計算が必須です。そこで座学の班は、実習班が弁当を作っている間にひたすらその弁当の栄養計算をします。
たとえば本日は豚肉のしょうが焼き弁当。レシピには「豚肩ロース90グラム」とあります。ぼくらは「食品標準成分表」というぶ厚い本をめくり、豚肩ロース100グラムあたりエネルギーが253キロカロリーでたんぱく質が17.1グラムで、そうすると使用量が90グラムだから0.9倍で228キロカロリーで15.4グラムで・・・というのを延々と電卓ではじいて献立表に書き入れていくのです。

栄養計算、やってみると非常に簿記チックです。いろんな約束事があり、それを覚えるとあとは機械的な作業。仕事にするならやらないとダメだけどやってもさほど意味がなさそうなところとか、実際には手じゃなくてパソコンでやるんだろうからやっぱり意味がないんだろうなというところまでそっくりです。
まあ、過去に簿記3級という高貴な資格を12時間でゲットしたことのあるワタクシにとってはお茶の子さいさいってなもんですよ。


ところで前置きがたいそう長くなりましたが、今日のお話は以前にも登場したクラスメートのビッグマウス・バン・ベイダーについて。
彼はたいそう妄言が多いです。いや妄言かどうかはわからないんですけど。でも前にも「帰国子女で飛び級で東大医学部に入って中退した」「貯金が1600万」「いや6000万」といったビッグマウスを繰り出したことをご紹介しました。最近では某国際ホテルグループの御曹司であることも判明しました。それら全てが本当だとすると、とても立派なお方です。

そんな彼を、例により店員のアルティメット・ジェッター中村くんに絵にしてもらいましょう。



ベイダーは、推定体重100キロ。いつも横じまのラガーシャツを着ているのが特徴です。金持ちになる秘訣は、服などには金を使わないことのようです。一度縦じまのシャツを着てきたことがあり、そのときはクラス中が「垂直」「90度イメチェンだ」と大騒ぎになりました。

集団調理の栄養計算の座学の初めに、先生がカロリーの話で「一時間ジョギングをしても、消費カロリーは510キロカロリーとたいして多くはないのです」ってなことを言いました。「そう考えるとクロールで1時間泳ぐと1200キロカロリーですから、水泳はかなりの運動ですね。この中に1時間クロールで泳げる人はいますか?」と。
すると、ベイダーはすっと手を挙げました。とにかく、検証ができないことについては彼は徹底的に強気です。

最初は、ぼくらもいちいち「あいつウソ臭い自慢話ばっかりだけど、ほんとかよ?」と鼻息を荒げていました。でも彼が1年次の期末テストで赤点を取り再試をくらったころには、なんというか生温かく彼を見守るようになってきました。
栄養計算の約束事のひとつに、「単位と桁数は成分表に揃えて計算する」というのがあります。例えば米は、成分表には100グラムあたりエネルギーが356キロカロリー、たんぱく質が15.5グラムとあります。レシピの米の使用量が110グラムだとすると、単純に1.1倍してごはんのエネルギーは391.6キロカロリー、たんぱく質は17.05グラムになります。でも栄養計算上は元の数値に合わせて四捨五入して392キロカロリー、17.1グラムとして計算します。

んで、米100グラムあたりの炭水化物は77.1グラムと書いてある。では米の使用量が110グラムなら?77.1×1.1=84.81、元の値が小数点以下一位だから・・・。

「何グラムですか?」先生がベイダーを指しました。

彼は立ち上がり、「85グラム」と答えました。

先生はちょっとうろたえて、「成分表の桁数に揃えて四捨五入するんですよ、成分表には77.1グラムって書いてあるから・・・何グラムですか?」ともう一度聞きました。

「80グラム」と彼は答えました。

みんなは、生温かく見守りました。
そして休み時間に、「東大では、四捨五入は習わなかったのかな?」「まあ、飛び級だからな」「ほら医学部は、四捨五入とかいい加減なことしたら人命にかかわるわけだし」「いや、海外暮らしが長かったから、四捨五入のような日本の文化に不慣れなのでは」と噂しました。
果たしてベイダーは、「いやー、サイン・コサインとかならわかるんだけどなー。四捨五入って突然言われると忘れちゃってたよ」と悪びれずに言いました。


おもしろいのでこのまましばらく生温かく見守って、東大の話とかのホラ話を引き出すだけ引き出して、最後にズバっと息の根を止めてみようっと。

何っ子?

2005/5/12

不穏な小包が届きました。



恐くてまだ中身が見れません。

週末くらいに開けてみようかと思います。

ニコチン

2005/5/16

ここ数日のことはとくに書くことがなかったというわけではなく、むしろ憎き青の4番「のっぺり三角」を遂にクリア、すると次に待ち受けていたのは青の5番「食べかけメロンパン」、その食べかけの部分に両の手の平を引っ掛け踏ん張り無残にも滑り落ち続けること3時間、結局諦めてじゅんの家にて第二幕アルコールにボルダリングの巻。これがまた見事に酔っぱらって、BOΦWYのDVDを見て盛り上がり懐かしいなあカラオケに行こうぜひ行こうという話をみんなでしたのは覚えているのだが、実際に行ったのかそれとも行かなかったのかは全く覚えていない。それよりいつどうやって帰ったのか覚えていない。もしかしたら私はじゅん宅にて粗相を働き追い出されすでに友人を何人か失っているのかもしれないし、帰り道に人を何人か殺しているとしても不思議ではない。さすがにそれはないとしても山奥からタクシーで帰ってきて、2ヵ月後に届くカード利用明細を見てギャフンというのは実にありそうな話。


で次の日に目が覚めまして、さあそんな日記でも書きましょうかというところだったのですが、どうしたことかちっとも起き上がれないのです。日曜日。
二日酔いかといえばそれはもちろんそうなのですが、どこか違う。全く体に力が入りません。飲んだ後なので喉が渇いて水が飲みたいのですが、立ち上がって冷蔵庫に行くことができません。トイレはさすがに我慢しきれないのですが、それもかろうじて這っていくような状態。そのついでにやっとのことで冷蔵庫からブリタのボトルを取り出して、ベッドに戻って寝たままボトルから直で水をあおりドボドボこぼす。腹が減ったが何も作る気はしない。手の届く範囲に、このまえ製菓の実習で作ったフィナンシェが落ちているが、いったいこれ作ったのいつだ?焼き菓子でもさすがにヤバいのでは?まあいいか背に腹は変えられないので食う。
という感じで、朝からすっかり要介護。とにかく力が入らず、いやむしろ力を入れようという気が起きない。いつもの二日酔いとは全く違う感覚。いつもなら二日酔いは胃にきます。吐き気がするはずです。でも今回はあまり吐き気はなく、それどころか腹が減っているくらいなので軽いほうかも。その代わりに、とにかく力が入らないのです。

それは、おそらく禁煙のせいです。


13日の金曜日、給料日。家賃を払い、借金を返し、明細とにらめっこをして、これから1ヶ月をどう乗り切るか、そして次回の学費の支払いをどう乗り切るかというのを、ぼくは仕事をサボって一日中計算していました。なるべく早く学費を払う目処を立てて、今の職場を離れたいのです。そのためには9月末まで働けばなんとかなりそうなのですが、もう少しがんばれば8月末でもいけるかも。しかしそのためにはさらに出費を切り詰めないと・・・どこで・・・・。
というのをずーっと、電卓を叩いてウンウンと。電卓を叩いても金は出るわけはなく、考え疲れたのでタバコを吸いに喫煙室に行きました。

今の職場はビルの32階。すみっこに6畳ほどの小さな喫煙室があります。喫煙室の真ん中には旧型の大きな空気清浄機があって、人が5人も入ればいっぱいです。でも1フロアで100人弱の職場なのでそれで十分です。
しかしそのときは、喫煙室の中にびっくりするほど人がいました。32階には大講堂があり、そこが使用される日は一気に人がやってきて小さな喫煙室はいっぱいになるのです。運悪く説明会かなにかの休み時間にぶつかってしまったようです。
かくして6畳ほどの部屋は20人くらいの人がひしめきタバコを吸う地獄絵巻。部屋の中は煙でまっ白です。タバコを吸わなくても副流煙でおなかいっぱい。なんなんだおまえら、ぼくの安らぎの場である喫煙室に大挙して押しかけて!と思ったのですが・・・その部屋でタバコに火をつけ、ふたくちみくち吸い、目が染みて、ふとぼくは思いました。

「あほらし」

この狭い部屋でみな顔をしかめながらタバコを吸っている。「そこまでして吸うか?」と思いながら、言いながら、ぼくもみんなも吸っている。この一瞬で20本、300円分のタバコが煙と消えていく。あほらしいことこの上ない。真ん中の空気清浄機に、我々喫煙者は金を払って鎖で繋がれているようなもんです。

ぼくはすぐにまずいタバコを消し喫煙室を出ると、タバコの箱を燃えるごみ箱に、ライターを燃えないごみ箱に、それぞれ投げ捨てました。

というわけで、ものすごく発作的に禁煙開始。金曜日のこと。


ええこれまでも禁煙に挑んだことはありました。日記でも過去に3回くらい書いた気がします。そういえば去年の4月、退職と同時に禁煙を宣言しました。ちょうど年に1回ペースくらいで繰り返してるわけですな。
今回も一番の動機といえば「金がない」という若干消極的な理由。続くわけはないでしょうが、久しぶりにやってみましょうか。気軽にプチ禁煙、つらくなったらやめればいいや・・・。

そして5時間後。

超つらいじゃないですか。


頭がぼうっとします。仕事でお客さんとしゃべっていても、ふと頭の中が真っ白になります。頭の回転が7割くらいに落ちているような、頭に酸素が行き届いていないような、クラクラした感じ。
その感覚は次の土曜日になっても変わらず、いっそうひどくなるばかりです。さすがにボルダリングの最中は必死なので忘れられたのですが、酒を飲みだすとタバコが吸いたくてたまらない。タバコのことで頭がいっぱいで何を話しているかわからない。それよりも、タバコをやめてぼうっとした頭で飲むと、いつもより酔いが回るのが早い。まさに、飛行機で酒を飲むと気圧の関係で悪酔いするがごとく。
そして次の日曜日。二日酔いというより、体に力が入らない。何もする気が起きない。熱を測ると37度4分。微熱ですが、カゼや病気の感じとは違う。内科的な病気というより、鬱の状態にそっくりです。予定もあったので無理やり出かけましたが、まるで一日が夢の中にいたよう。いくら寝ても寝たりない。寝ていたのか起きていたのかわからない。
この3日間のできごとを、今振り返ってもまるでうすぼんやりとした膜がかかっていたよう。日記なんてとてもじゃないけど書けたもんじゃなかったのです。

それらはすべて禁煙のせい。タバコがこんなに心身に、とくに精神や思考に多大な影響を与えているというのに、今回初めて気づきました。
過去に禁煙が続かなかった理由、それは案外「禁煙が意外と楽だった」ということがあるのかもしれません。やめてみて、まあなんとかやめられて、「よしこれならいつでもやめられる」と確認して、それでまた喫煙に戻る。その繰り返しでした。これまではそんなにヘビースモーカーというわけではなく、依存度も低かったのです。
しかしここ最近は、とくにテキマニ決勝戦くらいから目に見えてタバコの量が増えました。いつの間にか体がタバコにどっぷり浸かっていたのでしょう。ニコチンのないこの3日間、むちゃくちゃきつかった。逆にいうと、タバコがいつの間にか自分に与えるようになった影響力の大きさがよくわかった。

ぼくはさほど健康に興味がないので、タバコの害の中でも肉体に与える悪影響はあまり脅威に感じません。今でも。それが、これまでなかなかタバコをやめられなかった理由のもう一つです。でもこの3日間で初めて体験した、頭のぼうっとする感じ、自分が自分じゃないような感じ、それはニコチンがぼくの精神をコントロールし始めたということの証なのです。
酒はまだいいよ、自分の意思でコントロールされにいくわけだし、四六時中飲んでるわけじゃない。だけどタバコはいつもそばにいて、知らぬ間に少しずつ、こんなにも精神を蝕んでいる。タバコがないと自分が自分でいられなくなっている。いつの間にか、タバコに自分が乗っ取られている。肉体はいい、早死にでもなんでもしやがれ、でも頭だけは、頭だけは。

ようやく戻ってきたけれど、まだ吸いたくてたまらない。
やめるかどうかはまだわかんないし自信もない。こんなにつらいなら禁煙なんてしないほうがいいという考え方ももちろんある。
だけどとにかく、タバコは恐い。それだけはよくわかりました。

2005/5/17



衝動買いでコーヒーメーカーを購入。ミル付きで、豆をガリガリと挽く音と香りを楽しんでみたり。ついでにインスタントコーヒーも買って、昼間はデスクでそれをガブガブと飲むことに。

というのもすべてタバコが吸えないからですね。コーヒーなんて今までほとんど飲まなかったのに。単にニコチンの代わりをカフェインに求めているだけ。アイ・ミス・ユー・イェット。あなたのいない右側に、少しは慣れたつもりでいたのに。ニーコチーン。

ネットに禁煙日記みたいなのがけっこうある。が、どれも書いていることが驚くほどに同じ。「禁煙5日目。タバコが吸いたくてたまらない。一日中タバコのことばかり考えている。集中力がない」。ぼくもいままさにそんな感じ。
かと思うと「禁煙46日目。まだときおりタバコが吸いたくてたまらない。一度考え始めるとタバコのことばかり考えてしまい集中力がない」とか、46日たってもちっとも進歩がない感じもうかがえる。
痛風の疑いで痛風日記サイトを読み漁ったときには、痛風患者に病状を不必要なまでに雄弁に克明に描写する人が多いことに感心したものである。一方で禁煙日記は、みんな同じ、いつまでたっても同じ。痛風が文学的なら禁煙はパンクロック的。ソー・ファッキン・タバコ吸いてえ。
同じことばかり言っていつもイライラしてばかりいるので、禁煙者を恋人や配偶者にはしないことをお勧めします。もしくは禁煙者の日記など読まないことをお勧めします。


とはいっても、確実にその支配下からは逃れつつあり、頭がぼうっとするというようなことはなくなってきているので、真人間までもう少し。
さあコーヒーを飲もう。

一週間

2005/5/19

禁煙1週間。ネットで調べていると、禁煙には「1週間目、1ヶ月目がつらい」という説がある。
「いや、2時間目・2日・二週間目がつらい」という説もあるし、「いやいや3の倍数、3日目・3週間目・3ヶ月目が鬼門」という説もある。かというと前述のように46日目もつらかったりする。要はいつもつらいのである。

何度も言うように、禁煙ネタ以外に書くことがないわけではなく、むしろ書きかけでまとまっていない話がほかに2つくらいある。けど家に帰ると、PCの電源もつけずに寝てしまう。一服して落ち着いてさあ日記でも書こうかという姿勢を取れないのが悲しいのだ。
これまでぼくの中には「食事のあとと日記を書くときはタバコをたくさん吸ってもOK」という俺ルールがあり、タバコを吸いながら日記を書くのは習慣として確立していた。タバコがなくなったので日記が書けなくなっているのは今のところ紛れもない事実。禁煙の禁断症状リストの中には、日記サイトにおける日記の硬直化とそれに伴うアクセス減を加えるべき。

といっても、タバコが日記を書いていたというわけではないのも事実。書いていたのは俺様。そして徐々に、まずは肉体からニコチンの支配を脱しているのを感じる。妙に頭がクラクラしたり喉が乾いたりすることはなくなってきている。
じきに、寝つきもよくなり食事がおいしく感じられ周囲の人が吸っていても不快な匂いと認識するようになり、ムキムキでモテモテで恋人ができ前回の英語のテストで100点を取りました友達に知られたくないのでこれ以上宣伝しないでください、そうなるはずなのだ。それくらいのメリットがないと禁煙なんてやってられないのだ。


とか書いていていま決めた。
発作的に始めた禁煙ですが、ここまで重いものとは思わなかった。こうなったらこれを機にタバコはきっぱりやめよう。
禁煙の話ばっかりしてる日記サイトなんてくだらないのです。タバコのせいでこのサイトがつまらなくなっているのです。
そんなのはイヤだ、もうタバコとはおさらば!これ以上追ってこないでよ!うわ〜ん!

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