静かな幕開け

2004/4/1

昨夜の脱サラ実況中継チャットに参加してくれた、次期店長・けいてい&けいこむ・kumiさん・底石&黒いカリスマ主婦さん・たけあきさん・コウイッチさん・Eddieさん・しのさん・海上くん・銀行印さん・魔界1号さん・マイティボンジャックくん・yuukaさん、どうもありがとうございました。
3人くらいでしんみりと展開するものと思っていたら、果たせるかな入れ替わり立ち代り総勢16名参加。楽しい脱サラの瞬間となりました。

そして今日から記念すべき自由人生活の始まり・・・なわけですが、ことさらにはりきって何かするつもりはなく、もともと今日はのんびりと過ごすつもりでいました。
なんたって3月後半は体を酷使しすぎましたからね。

それできのうも「部屋を片付ける」とか言ってたんですが。実は自分で思っている以上に疲れていたようで、けっきょく部屋を片付けることもできずに一日中寝ていました。

あと、脱サラと同時にスタートした禁煙。これのおかげで何もやる気が起きないというのもあります。タバコのことが気になってほかのことが手につかない。キシリトールガムのでっかいボトル、あれを買ってきてむしゃむしゃ食べているのですが、気休めにしかなりません。タバコが吸いたくてしょうがないので、忘れるために寝る。
ときどき起きて、でも何もする気が起きないので、久しぶりに2ちゃんねるとか見てる。
「日本語入力で、中指をQに、人差し指をAに置いて、手を右にガーッってやるとかなりの確率で『ふじこ』と表示される」というネタにはまる。

くぁwせdrftgyふじこlp;@
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わはははは。


というわけで、今日はもう寝よう。なんだか普通の休日だったみたいだ。よく休んだな、明日からまた会社だ、みたいな。

でもこれからは毎日こんな感じなわけだ。
そして毎日こんな感じですごしていると、あっという間にダメ人間になっていくわけだ。
そう、こんなんじゃダメ。いろいろと、活動しないと。サイトも作らないと。お金も貯めないと。

でもいいね。今日くらいは。今日くらいはゆっくりしよう。今日はもう寝て、明日から動き出そう。
それでは、おやすみなさいませ。

ネタ・リサイクル

2004/4/2

2日は家を空けていたのだけれど、更新に穴を開けるのは心苦しいので、おわびにちょっと前に書いてあったネタを載せてみよう。
もやは過去の話の会社ネタなのだが、ここ半月は圧倒的なダイナミズムに押し流されて、こんなのどかなネタはアップするすき間がなかった。


***


関連会社の人といっしょにお客さまのところに行くことになりました。事前に電話で打ち合わせをして、お客さまのところで現地集合ということにしてありました。

ぼくは約束の10分前くらいに着いてしまい、ちょっと立ち読みでもして時間をつぶすかと思って目的地のビルの隣にあるコンビニに入りました。ほんの5分くらいのヒマつぶしです。フライデーの「井上和香 体感グラビア・エッチな一人暮らし」の袋とじをぼけーっと見ていました。

そのとき隣をふと見ると、隣で立ち読みしている背広姿のハゲたおっさんも、ちょうと同じく井上和香の袋とじを、それこそ穴が開くほど凝視しているところでした。

サラリーマン二人がコンビニで並んで「井上和香 体感グラビア・エッチな一人暮らし」を眺めている様を客観的に想像して、ぼくは思わずちょっと吹き出してしまいました。すると隣のおっさんもぼくのほうを見て、同じページを見ていることに気づいた様子。ちょっと情けない顔で二人で会釈を交わしました。
見知らぬおっさんと都会の片隅で、ちょっとした心の触れ合い。



アポの5分前になって、ぼくはコンビニを出て目的の会社に向かいました。受付ロビーには、まだ同行の関連会社の人は来ていない模様。ぼくはソファに座って資料に目を落としながら待ちました。

ほどなく、「店長さんですか?」という声。ああどうも始めまして店長です。
立ちあがり声の主を向くと・・・さっきのハゲたおっさん。
都会の片隅で、非常に気まずい再会。

毎日が日曜日

2004/4/3

「会社やめて、どう?」とよく言われますが・・・どうもこうもない。
4月1日の日記を読み直してみて、せっかくの記念すべき日なのに、あまりのテンションの低さに自分でもびっくりです。日記サイトならエイプリルフールネタくらいやれよなあ。「会社やめるのやめました」とか。
とにかく、びっくりするくらい何にも変わりません。今のところ、脱サラより禁煙のほうがよっぽどドラスティックな変革ですね。ほかに変わったのは営団地下鉄が東京メトロになったくらいかなあ。

ただ、曜日と時間の感覚は確実におかしくなってきています。曜日がわからなくて、きのう燃えないゴミを出しそびれました。
ゆうべは世間的には金曜日だったらしく、底石さんの家で焼肉パーティーが開かれ、ぼくはマッコリを飲みました。
マッコリについては、以前やっしーから「なんで『悪魔のお酒』なん?飲みやすいし酔わないのに」と言われ、ぼくは「マッコリ自体にではなく、それを飲む人間の側に悪魔が潜んでいるのです」と返答しました。
というわけで昨日も、気づくとぼくは4リットルのマッコリをほぼ一人で飲み干しており、悪魔降臨。ほんとは昨日のうちにさっさと帰ってきていろんな作業をするつもりだったのだけれど、けっきょく今日の昼過ぎまで底石宅でのんびりと過ごしていたのでしたとさ。土曜・日曜あたりの底石宅によく見られる光景です。

そして帰りには、新装なった東京メトロでS橋へ。変わらないどころか、辞めたにもかかわらずいまさら会社のすぐ近くに行きました。あしたお花見でラーメン作るから、「肉のハナマサ」に行って豚の骨を買ったのです。

そう、あしたはお花見。ラーメン作るよ。
それから今のところ決まっているのは、6日から旅に出る。西へ西へ、大阪を経由して最終目的地は福岡。一週間くらいで帰ってくる。ノートパソコンを持っていって、旅行の間の日記はマンガ喫茶からアップします。青春18きっぷの旅で腐るほど時間があるので、たくさん書けるし本も読めるぞ。
帰りはバースデー特割を利用して飛行機で。

その後は・・・もう未定。

髪の毛をどうにかする。
サイトをなんとかする。
部屋をもうすこしきれいにする。
そんなところかなあ。

退職前は、辞めた後にいろんなことがあるんだろうと思った。
でも実際辞めてみると、案外ヒマなもんだ。普段の日曜日と何もかわらない。
ただ違うのは、毎日が、日曜日。日曜日。明けても明けても日曜日。

きっともう少しすると、このヒマさが焦りに変わり、猛烈に活動し始めるときがくると思う。思うというか、確実にくる。くるというか、こさせる。もはや予定だ。

けど、今のところは、このヒマさを存分に味わおう。人生で一番ヒマな時間、毎日の日曜日。なかなか、味わえるもんじゃない。

魅せられて

2004/4/4

明け方に目が覚めて、「やば!コンタクト外さにゃあ」と思って目に指を突っ込む。
が、なかなか外れない。
泣きながらぐりぐりとコンタクトを探しているうちに、気づく。

裸眼じゃん。

泥酔していても、寝る前にコンタクトを外す機能はついているらしい。


**

というわけで、「3104丁目のPOOL HALL」に集う人々10人くらいとお花見をやって、例によって完全にできあがったのですよ。やー楽しかった。
もちろん鍋とカセットコンロ持参、名刺代わりの田舎味噌ラーメンと男ショコラで殴りこみました。
うまいうまいと喜んで食べていただき、スープだけおかわりまでしてくれた方もおり、店長も大満足でございます。
あいにくの雨で、場所は途中から開店前のタキさんのビリヤード屋へ変更。ビリヤード台の隣で湯を沸かしラーメンをふるまうという、世にも奇妙な光景。楽しかった。


あとカラオケね。
彼らとは初めてカラオケに行ったのです。カラオケに行くらしいということだったので、鍋のほかに新聞紙も持参で殴りこんでおりました。
カラオケで新聞紙、といえば店長の18番「魅せられて」です。このページをいま見ている人の半分くらいは見たことあるでしょうか。見たことない人にとってはなんのこっちゃわからんでしょうが、要は、新聞紙を使った芸です。見たい人は、こんどカラオケいこうよ。
しょーもない芸なのですが、しかし、これを思いついた瞬間ぼくは体に震えがきたくらいの、画期的な芸なのですよ。実用新案申請中。(うそ。)しかも、見たことある人にも言っておこう、あれからさらに進化している。ものすごくしょーもない進化。またこんどカラオケ行こうよ。

「部屋の外に飛び出すLOVE LOVE SHOW」などの、店長定番ネタで体を温め、いよいよ「魅せられて」。一回目のサビの瞬間には、カラオケボックスの部屋が、揺れたね。喝采で。いやそれは言いすぎたけど、期待以上に受けた。

ラーメンと、日記と、魅せられて。店長の3大かくし芸。ちょっと待て芸は魅せられてだけだぞ。どれも隠してないし。
それはさておき、この3つのスキルがあれば、ぼくは日本中どこでもだれとでもうまくやっていける気がするよ。


そこで気をよくして、痛飲。お花見ではラーメンの準備があって飲みに集中できなかった分、心おきなく痛飲。
そして本日の日記の冒頭に戻るわけだ。
最近「酔った次の日の奇行」からスタートする日記が多いな。

ちなみに本日の遺失物。鍋を二つとカセットコンロ。金額的にはたいした被害じゃないが、鍋がないと料理ができないじゃないか!
このまえある人に「店長は酒に溺れなければ必ず何かで成功する気がする」とのお言葉をいただいた。いえーい。ぼくもそう思うんですよ。今のところは確実に酒に溺れてますけどね。

さすらい

2004/4/5

手を広げて自分の眼に当ててみれば、手のひらは眼球に触れないのがわかるだろう。眼球はほお骨が作るくぼみの中にあり、しっかりと眼窩に守られている。
顔のキズ、右のほお骨付近に大きなすり傷ができ、1センチほどで危うく眼球を避け、そして眉じりにも大きなすり傷。つまり無防備に顔面から落ちていってまさに眼から着地し、それでも眼球は眼窩に守られたというわけだ。人体の構造の神秘を感じずにはいられない。もしあの日転んだときに、そこに小石や点字ブロックなどのほんの少しの突起があったら・・・想像すると恐ろしい。
しかしとにかく眼球は守られて、そして今日、最後のかさぶたがとれてきれいさっぱりなくなった。まだ少し赤みが残ってひりひりするけれど、この分なら痕にもならなそうだ。自分の体ながら、人間ってすごいや。

***

ちなみに本日の拾得物。鍋を二つとカセットコンロ。JR大崎駅にて無事発見。
やっぱり出てくる落し物。この、果てしなくうっかり忘れ続ける酔いどれ落とし主と、それでも健気に戻ってくる落し物たちの愛の物語は、いったいいつまで続くのか。これが落し物じゃなくて人形とかだったらすごく恐い話ですよ。

***

さて、ものすごく機嫌が悪い。

朝から、会社のぞぬ野郎から電話がかかってきた。ヤツはぬらぬらとしゃべるので、初め名前を聞き取れずに混乱。しかもこっちが誰だかわかっていないうちに、「どーですか最近」とかのトークもなく一方的に用件を言ってくるからよけいに混乱。
で、ようやくぞぬ野郎だとわかった後も、その用件が「店長さんのPCのパスワード教えてください」。ぼくの端末を彼が使うらしく、ぼくは全部のパスワードを「password」に変えてきたつもりなのだが、なぜかスクリーンセイバーのパスワードだけ変わっていないらしい。パスワードのようなハイリーセンシティブ情報をぞぬ野郎に教えなければいけないのが、吐き気がするほどムカつく。
しかもぞぬ野郎が、何度言っても聞き取らない。
「アイですか?え?エー?大文字?」「1って言ってんだろ、1だよ1!!!」
そんなんを20回くらいくり返してやっと伝えた。最後は大声で怒鳴った。
しかもそうして伝えた旧パスワードも・・・「パスワードが間違っています」と出るらしい。そしたら知らねえぞ。がんばってください。


会社から電話があったのは退職後初めてだ。しかも仕事の話じゃないよな。予想していたことだが、予想以上に、ぼくなんかいなくても会社は成り立っているらしい。あいかわらず地球は、じっくり回ってる。
そんな中でぼくは、何もやる気が出ずに部屋で吹きだまっている。

ほんとうに何もやる気がしない。いま身を乗り出して「やりたい」と言えるのは、セックスくらいかな。身も蓋もない発言でごめん。ほかにしたいことが見つからないくらいやる気のない状態、ということだ。
しかも、じゃあセックスをするために、例えば彼女を作るとか、ナンパをするとか、はたまたソープに行くとか、そういう目的に向かって少しでも前向きな行動をする気があるかというと、これもない。状況はわりと深刻だ。
あと、少し注意欠陥障害の気が出ており、いろんなことを行き当たりばったりでやってやりかけで放り投げてしまう。だから気づくと料理をするためにお湯を沸かしつつ風呂も沸かしていたりする。けっきょく何をやっても最後までやりつくす集中力がないのだと思う。

なんでこんなに精神を病んでいるのか。スーパーで、レジを待つのにイライラする。朝起きて晴れていて、なのに部屋の中はうすら寒いのでイライラする。お金を下ろすのを忘れていて手持ち現金がなくなりイライラする。なんでこんなに機嫌が悪いのか。
わかってる。その理由は「会社を辞めたから」だ。

日記を読んでいただけるとわかると思うが、3月は、とくに31日に近づくにつれて異常なハイテンション。文章が長い。躁鬱でいったら間違いなく躁だ。ある人いわく、日に日にぼくの顔が穏やかに、晴れやかになっていったらしい。そして子どものような顔になって退職の日を迎える。
一転して4月。躁鬱でいったら欝転。とたんに文章が短く、どんよりしてくる。

タバコをやめたというのもあるが、それがイライラの原因ではない。もう肉体的なニコチンの依存というのはだいぶ弱まってきたかんじで、最初の波は越えたと思う。タバコが吸えないのがストレスになっているのではない、むしろ禁煙は今の生活に適度なストレスになってくれてさえいると思う。
そう、ストレス。縛り。そういうものが、今の生活に何もないのだ。だからイライラする。ストレスがないことがストレスになるというのは逆説的だが、縛りがないということのプレッシャーは想像以上に大きいものなのだ。

実はこの5日間は、わりと忙しくしていた。体を休めるために一日中寝ることを含めて「忙しい」と言っていいかは微妙なところだが、とにかく何もしていなかったわけではなくて、とことん休んだり、ラーメンやケーキを作ったりふるまったりして外に出ていた。
その結果、予定していたサイト作成は少しも手がつけられず、日記を書いただけで5日が過ぎてしまった。それが、イライラの大きな原因のひとつ。
「サイト作成に時間がかけられない」というのは、会社にいるときもいっしょだった。サイトもそうだし、お店をやるための計画を練ること自体がそう。会社という縛りがあると時間がなくて手がつけられなかった。だから会社を辞めることを選んだと言っても過言ではない。
だけど、会社を辞めても、やっぱり時間はあるようでない。やりたいことが存分にできるようでできない。時間は無限にあるはずなのに、それがやりたくて会社を辞めたはずなのに、できていない。それが日に日にプレッシャーに変わり、じわじわと自分の首を絞める。
「会社という縛りのせいで〜できない」というのが、自分の中で万能の逃げ口上になっていたことに気づく。会社があるから土日しか遊べないよ、会社があるからサイト更新はゆっくりしかできないよ、会社があるから夢には近づけないよ。そう嘆きながら、実は「会社があるから」という言い訳ができていることに心のどこかで安心していた。
だが今では、自分の時間をフルに使えてしまう。ということは、サイト更新は猛スピードでなされなければいけない。夢には一直線で向かわねばいけない。もう会社を言い訳にはできないのだ。これは、プレッシャーである。だからその通りにできないと焦り、逆にやる気を失うのだ。

会社は、縛りであり、逃げであり、大きなよりどころであった。たった5日で痛いほど感じる。それがなくなって、どうしようもないくらい焦燥感にかられている4月5日の自分。


だが、正直なところこうしたプレッシャーの類も予想された範囲。折り込み済みではある。そういう焦りにさんざん焦らされて、反動で次のことをガーっと始める、という計画です。言ってみれば通過儀礼。むしろ思ったより早めに来たなというところ。

だから、とりあえずこの流れに乗ってもっともっと焦ってみようと思います。
明日から1週間、旅に出ます。青春18きっぷで大阪へ。そして博多へ。帰りは12日。旅行中は懐かしのジオシティーズの日記ツールを復活させ、臨時の「サスライ」コーナーにて全国各地の駅弁の味を随時お届けします。(うそ。)

会いたくなったら歌うよ、旅路の歌を。

西へ!

2004/4/6

やあみなさん、ぼくはいま東海道線に揺られて三島にいます。

この旅にあたって、ぼくは強力な新兵器を得ました。
以前に愛用していたシグマリオン2「銀次」は北海道旅行のときに山手線に置き忘れてきてしまっており、その後継機が求められていたのですが、なんと黒いカリスマ主婦さんのNEC製ノートパソコンを無償で永久貸与されるという幸運を得たのです!
5年前のB4ノートパソコン、超重いです。でも家ではコースター代わりに使われていたとのこと、パソコンもこうして外に持ち出してもらって喜んでいることでしょう。頼むぞ、銀太!(命名。)

しかも5年落ちとはいえせっかくのノートパソコン、きちんと使えばかなりのことができますよ。
きのう電器屋に行って携帯とPCをつなぐUSBケーブルを買いました。んで適当なプロバイダのサインアップCD-ROMをもらってきて、一番安いコースを選んで・・・ネット接続完了!おかげでこうして、電車の中からも日記を書いてアップすることができるのです。世の中便利になったもんだー。(5年落ちだが。)


ちなみにいま時間は午後三時前ですね。もうすぐ富士です。さっきからずっと静岡。静岡超広い。というかまだ静岡でいいのか?

もともと予定のない青春18きっぷの旅、決まっているのは今日の21時に梅田で前の会社の大阪本社の人と飲むということだけ。なのでゆっくり準備をし、お昼前ごろに出発し、途中下車しながら20時ごろに大阪入りするつもり、だったんですが・・・。
けさ、移動の間に読む本を借りに図書館に行ったらハマってしまって。ほら事前にみなさんにお勧めの本を聞いてあったじゃないですか。あと海上くんのサイトとかでは読んだ本のレビューなんかもあって参考になった。それらを探していたら楽しくて、10冊も借りちゃいました。そして気づいたら12時すぎ。
慌てて帰って荷造りしたわけですけど、10冊も借りちゃったもんでこんどは本がリュックに入らない。服とかはほとんど持ってないんだけど、なにぶんノートパソコンが超でかいですからね。時刻表も持ってかないといけないし。
で、しょうがないので特におもしろそうなものをチョイス。アーヴィングの「ガープの世界」と、高杉良「辞表撤回」。あとなぜか図書館の本じゃなく「神はダイスを遊ばない」を持って家を飛び出した。図書館、意味なし。

で、現在は予定より1時間遅れぐらいのスケジュールで広大な静岡の平原を西にたゆたっております。
静岡いいな。いい天気だなーと思っているといきなり海が開けたりするし。地名がいいね。由比とか。田子の浦とか。田子の浦ゆ!ゆ!(ウィットに富んだ会話。)
人もいいぞ、電車の目の前に座ってるおばちゃんが天龍そっくり。やっぱり静岡だけに天竜なのか。53歳!いや54歳!

時刻表を見ると、予定には少し遅れて21時14分に大阪へ到着予定。しかも途中下車などして食事をするひまもない。それ以前に出発前のごたごたでお金を下ろしていないので、弁当も買えない。名古屋で電車の接続の時間が少しあるので、そこで銀行に行ってきしめんでも食べよう。名古屋着・・・18時12分。腹減ったなあ。まあいいや。本でも読んでのんびり行こう。


ところでこのパソコン、フルに充電してどうやら1時間くらいしかバッテリー持たなそうです。こんだけ重い思いして本減らしてまで持ってきてるのに、1日1時間かよ・・・。

1日目・夜

2004/4/6

というわけで夜の9時すぎに大阪入りしました。まるまる9時間の旅。列車の接続がうまくいきすぎて、まるまる9時間ノンストップの旅だったのですよ。お金おろしてなかったから名古屋まで飲まず食わずだし。
でも天気はいいし、移動だけでも楽しかったなー。東京から大阪まで、線路沿いのあらゆる桜を見ながら走ったわけですよ。満開満開、非常によいタイミングで旅をしたと思います。本を読みながら、日記を書きながら、つねに視界の端には桜。たぶん日本全国の桜の30分の1くらいは見たんじゃないかというくらいの桜ロード。

でその果てにたどりついた大阪で、まず前の会社の大阪本社で働いている270センチさんと飲みました。
270センチさんは人事をやっている人なのですが、同時に彼は中途採用で入社してきた転職経験者でもある。採用を行う立場でもあり、転職をした立場でもあるという類まれなキャラクターに惹かれて、これはぜひ「インタビュー」のコーナーで使わせてもらうしかない!と大阪まで会いにきちゃったというわけです。
270センチさんはいま本業で採用&研修の真っ只中、1年で最も忙しい時期だったのにもかかわらず、お相手してくださってどうもありがとうございました。有意義なお話が聞けました。帰ったらアップしまーす。

そして11時すぎに270センチさんと別れ、堺にあるSIBCのこじこじさんのお宅へ。こじこじさんとは東京で4日に飲んで、そのとき彼は会社を辞めて大阪の実家に帰ろうとする前日かなんかで。感動のお別れ、また会おうぜ!だったわけですが、2日後に本当に会いにきちゃいました。
ノンストップどたばた旅行だったもんでお土産もなにもなく、しかも夜中の12時に突撃したんですが、こころよく迎えていただいてありがとうございます。お土産がわりにコンビニへお酒を買いに行ったら、マッコリと並ぶ悪魔の酒・焼酎鍛高譚を発見。この瞬間で昨夜の飲みの方向が決まりましたね。まあ鍛高譚があろうとなかろうと、すべからく飲みはひとつの方向に進んでいくんですけどね。メニー・アルカホール・ワン・ディレクション。メニーじゃなくてマッチだけどね。

焼酎のほかに、ワインを1本空けて3時ごろに寝ました。

くつろぎ

2004/4/7

大阪入りして2日目。

引き続き、こじこじ宅にてくつろぎ中。文字通りくつろぎ。実家並み。いやぼくは実家にはあまり近寄らないので、実家をはるかに超えるくつろぎですよ。
朝食とか食べてるし。風呂入ってるし。
こじこじと二人で「おもいっきりテレビ」を見ながら、脊髄反射で突っ込みを繰り返す。「みのさん、黒っ!」「松崎しげる、黒っ!」。
NHK教育の囲碁の番組に出ているアイドル棋士が超かわいい。脊髄反射で見入った。魅せられた。東京に帰ったらテキストを買おう。
そんな感じで、とにかくくつろぎである。

あまつさえ、こじこじ母さんともケーキを食べながら二人でトークする始末。ただしこじこじ猫は心を開いてくれない。

肝心のこじこじは、ただいまダウン中です。起きたときは普通だったんですが、昨夜の焼酎&ワイン1本ずつ攻撃が今になって効いてきたらしい。リバースしたらしい。寝ています。
きょうは二人で大阪見物でもと言ってたのですが、それどころではない。こうしてぼくはこじこじ宅にてくつろぎを続行させていただいております。


あとでこじこじが起きてきたら体調不良をわびるでしょうが、どうかお気になさらず。ぼくはけっこう大阪には来ているので、特に見たいところがあったわけではないのです。9時間座りっぱなしの旅はけっこう疲れたので、ゆっくりできてよかったし。
いつもここで言っているけれど、やっぱり思う。旅行の意味は、いろんなものを見て回ることだけではないよね。日常を離れ、心の置き場所を変え、日常に戻る活力を得ること。それができれば、散歩でも、模様替えでも、すべからく旅行です。
ぼくは会社を辞めて人生そのものが旅行になっちゃったかんじですが、その中でも今は旅先で極上のくつろぎを得ています。こじこじ宅で一人でノートパソコンに向かう、これもまたよい旅の姿。本でも読もうかな。ガープの世界超おもしろいんだ。

2日目・夜

2004/4/7

この日はけっきょく夕方まで堺のこじこじ宅でまったりして、それから前の会社の七鍵守護神さん(勝手に命名)と飲みに行くために5時すぎくらいに出発した。「いってきます」とぼく。「いってらっしゃい」とこじこじ母。何かがおかしい。

七鍵守護神さんは大阪本社の人で、実際には数えるくらいしか会ったことはないのだが、仕事上とても絡みのある人だったので内線ではよく話した。ムダ話をすることも多く、最初にぼくが「3月末で辞めます」と打ち明けたときは1時間くらい話した。そんなわけでこれまで顔を合わせた時間はトータル1時間もないくらいなのだが、すでに顔見知りな感じ、ぜひ飲みにいきたい相手でした。
6時半に新阪急ホテルのフロントで待ち合わせ、とのことだったが、梅田駅に着いたところで七鍵守護神さんから電話がかかってくる。突発で仕事が入ってしまい(あの「検査」がやってくる可能性がMAXに高まっているらしい!)、抜けられないので少し遅れるという。ぜんぜんいいですよ、そのへん見て回ります。

1日目はフラフラになって到着し、休む間もなく270センチとのインタビューに入っていて、2日目はこじこじ宅でまったりしていただけなので、こちらへきて初めて大阪の街並みというものをじっくりと眺めた。
大阪に何度きてもびっくりすること。エスカレーターの空ける片側が東京と逆だ!
スイカは大阪弁ではイコカと言うらしい。
などなど、微妙な東西の違いを感じとって楽しむ。1円も使わずに、そのへんをふらふらしているだけで勝手に喜んでいるのだから、つくづくぼくはさすらい向きだ。しかも服とか変えなくても気にならないし。人の家に定着してるし。

そして待ち合わせ場所の新阪急ホテルフロントで、読書。ガープの世界やばい。またひとつ、人生の書に出会ってしまった。ずーっと読書。
けっきょく七鍵守護神さんが仕事を切り上げ到着したのは8時すぎ。ぜんぜん構いません本読んでましたから。

彼はぼくを見るなり「およそサラリーマンからかけ離れた風貌やな」と。うん、1週間で見た目はそうとう脱サラしてると思います。髪はぼうぼう、ヒゲぼうぼう。
「こてこての大阪を満喫させてください」とオーダーしてあったので、大阪ではわりと有名な、でも大阪以外ではだれも知らない、ちょっと小さなお好み焼き屋に連れていってもらった。超うまい。
ここでは、大阪人がお好み焼きをヘラで食うことが判明。それぜったい無理してるって。箸でいいじゃん。しかし「東京だって、もんじゃ焼きはヘラで食うやろ」と七鍵守護神さん反論。いやそれは別モノですから。

というわけでこてこての大阪で腹を満たし、2件目のドイツ居酒屋みたいなところへ。ビールがうまい。
が、ここでは大昔に書いたことのある悪魔のお酒・シュタインヘーガーを発見。ひたすらシュタインヘーガーを飲む。「お料理はラストオーダーですが、ご注文は?」「シュタインヘーガー大盛り」と、罰ゲームのようにひたすらシュタインヘーガー。

七鍵守護神さんは、普段はもの静かで淡々と仕事の話をする人なのだが、酒が入るとおもしろキャラに大変身。あっという間に閉店の時間になってしまい、名残惜しいが席を立つことに。まあ、また飲みましょう。

3日目未明

2004/4/8

そしてまたしてもこじこじ宅へ。夜中12時すぎ。コンビニでワインを一本買って帰る。二人でワインを飲みながら、伝説のビリヤードまんが「ブレイクショット」の思い出話に花を咲かせる。

今考えると、あのまんがは奇跡の結晶、ケミストリーなのですよ。ショットの球筋が物理の法則を超越しているのは少年まんがなので多めに見るとして、それ以前の問題として出てくるショットがファールばっかり。しかも、ちょっとでもビリヤードを知っている人ならわかるようなファール。野球で言ったらバッターボックスから足がはみ出たらアウト、くらいな。1回でもハウストーナメントに出れば、いやビリヤードの入門書を一冊でも読めば、絶対に知っているはずのファールの数々。つまり、作者はビリヤードのことをよく知らなかったのだ。よく知らない、何回かやったことがあって興味がある、それくらいのレベルで描き始めてしまった。
そして当然、「ビリヤードまんがなんだからプロに『監修』の肩書きをもらいましょう」という話になるだろう。そこでオファーが行ったのが長井さんという人。ぼくは長井さんの人となりをよく知っているわけではないのだが、ビリヤード雑誌の写真やコメントから察するに、そうとういいかげんそうな人。芸能人でいえば蛭子さんにそっくり。そんな彼が、「ブレイクショット」の「監修」を務めた。「監修」なんて、してるわけがない。してたら、絶対に「これは・・・ファールです」と言わざるをえないのだから。

いいかげんな知識のまんが家と、監修する気のないトッププロ。この2人のケミストリーが、数々のスーパーショットを生み出した。言うまでもなく、「ブレイクショット」の最大の魅力は、常識を超えたテクニックの数々。それがファールであるかどうかということは、もはや関係ない。
たとえそのショットがファールであろうと、物理の常識を超えようと、ブレイクショットというまんがはビリヤードの魅力を最大限に(少々間違った方向に、だが)増幅し、伝えてくれた。ぼくらくらいの世代で「ビリヤードを始めたきっかけ」に「ブレイクショット」をあげる人は少なくないだろう。ぼくはもちろんそうだ。

これがもし、作者がもう少しビリヤードの知識があったらどうだったか。もし、長井プロにもう少しやる気があったらどうだったか。数々のスーパーショットは、多くが「これはファールですね」と切り捨てられて消えていて、その結果「ブレイクショット」の魅力は損なわれ、そしてぼくはビリヤードをやっていなかっただろう。まちがいない。
ビリヤードを知らなかったからこそ、監修する気がなかったからこそ、生まれた傑作。「常識にとらわれない」ということの重要さをこれほどまでに明確に教えてくれるケミストリーを、ぼくはほかに知らない。

これもまた人生の書。再発見。小さいころに持ってたけど売っちゃったんだよな。東京に帰ったらブックオフに走ろう!

何日目だ?もうわからん

2004/4/8

こじこじ宅にて本を読んだり夕方まで過ごす。昨日とまったく同じじゃないか。そういえば関西人はおとといのことを「おとつい」という。つまみのことを「あて」という。スイカのことを「イコカ」という。まったく気取りやがって。LOVE大阪。

こじこじとの最後の夜に、なぜか天王寺でお寺を参拝。なぜか?話すと少々長い話。
最初こじこじが、ナントカとかいう、東京でいえば新大久保にあたるところを案内してくれると言い、それはディープだおもしろそうとぼくも同意し、来訪2日目の夕方にして初めて二人で外出した。
そして電車に乗ってナントカへ向かったのだが、車中でなんとなくこじこじが地図を広げ、これから乗り換える天王寺って駅には、四天王寺っていう寺がある、と説明してくれた。その瞬間、行き先変更が決定。
だってぼくには、前にも少し話したと思うけど四天王がついているのだ。挨拶しとかないとまずいだろう。

とうに参拝時間は過ぎていたので中には入れなかったけれども、大切なのは拝む心である。ぐるりと周囲をまわって、参れるものにはかたっぱしから参る。右に回転させると邪気が払えるとかいう車輪があり、左に回したらどうなっちゃうんだろう!とドキドキしながらぐるぐる回す。右に。
「四天王」寺なのだが、中には四天王のほかには弘法大師あり、聖徳太子あり、地蔵あり。とにかく節操のない寺だ。しかも、「四天王」寺なのだが、本尊は四天王ではないらしい。(入れなかったので詳細不明。)寺を使って、太古の昔から壮大なボケをやっているわけですよ。スケールが大きすぎる。ヨーロッパ人の精神構造の根底に流れるスコラ哲学のごとく、大阪人の根底にはお笑いスピリットが流れているのだろう。


ここへきて、血中大阪濃度が著しく高まっているのを感じる。昨日の夕食はたこ焼き屋。自分で焼くたこ焼き屋だ!たこ焼きって、くるくる回して作るのか!たい焼きみたいに半球を二つ作ってくっつけるんじゃないのか!感動。



そこでこじこじと食べたのが、たこ焼き2人前、明石焼き、焼きそば、モダン焼き。食いすぎだ。超満腹。腹の中が大阪で満たされている。なんとなく阪神が好きになってきた。LOVEオマリー。



そうして、2日間お世話になったこじこじとお別れ。本当にどうもありがとう。こじこじ母さんもありがとう。土産も持たずにいきなり押しかけて、部屋まで与えてもらって。また来ます。今度はちゃんとおみやげ持ってきます。こじこじ猫は、けっきょくあんま慣れなかったなあ。


おまけ。

四天王寺周辺にて。

合鍵合鍵合鍵・・・と果てしなく書かれた鍵屋。

屋台で老眼鏡。

チャレンジ

2004/4/8

今宵の宿りは大阪本社のチャレンジテーマくん宅。勝手に命名。

初日に会った270センチさん、二日目の七鍵守護神さんは、東西二本社の壁こそあれ、まあまあ顔見知りな感じの人でした。ところが今日のチャレンジテーマくんは全くの見ず知らず。何回か内線で話したことがある程度なのですよ。接触時間、トータルで10分程度か。

そんな彼の家を訪れることになったのはこれまた奇妙な縁。
いずれ「ディスティネーション」というコンテンツで書くと思いますが、退職が近づいた2月ごろ、彼が突然「チャレンジテーマの参考にしたいので、話を聞かせてください!」と内線をかけてきたのだ。チャレンジテーマというのは、前の会社の新人研修の総仕上げ。1年間の業務経験を踏まえて、自分の仕事の改善提案を行う発表会だ。全社的にけっこう大きなイベントとして位置づけられ、講堂を開放して行われ、多くの社員が新人の発表を聞きにくる。

なにを発表するのと聞くと・・・なんとぼくが3年前、1年目の終わりにチャレンジテーマで発表したのと全く同じテーマじゃないか!奇妙な既視感にとらわれ、ものすごく丁寧に相談に乗ってあげた。そのテーマはぼくがもうやったよ、しかも実現してもうすぐ決裁されるところだよ。それをテーマに選ぶんだったらそうとう完成度が高くないとやる意味ないよ、方向転換したほうがいいんじゃない?
すると、チャレンジテーマくんはひるむことなく「実は、当社でE-マーケットプレイスを手がけるべきじゃないかと思うんです!」。ぼくはたまげた。E-マーケットプレイス。それも、ぼくがやろうとして取り組んできたこと。でも、うちじゃ無理だなと思って、途中でやる気を失ったこと。投げ出したこと。(別にE-マーケットプレイスについて語りたいわけではないので、わからない人はなんでもいいから「自分の会社でやっていないおもしろそうなこと」に置き換えて読んでくれればいい。エロビデオ製作、格闘技団体設立あたりはいかがでしょう。)
しかも、さらにたまげるのは、彼がE-マーケットプレイス(あるいはエロビデオ製作、格闘技団体設立)とはほとんど関係のない部署にいるということ。ぼくがいた部署は、少し関係がある。だからぼくも興味をそそられたテーマだったのだ。でもチャレンジテーマくんは全然関係ないところからスタートして、そこにたどり着いた。

実は、「チャレンジテーマ」という研修のタイトルは笑えないジョークのようなもので、かわいそうな新人たちの多くは1年間の実務経験ですっかり牙を抜かれ、ピアスの穴がふさがるがごとくに自由な発想というものを失っている。そして多くの人が「損はしません」という程度のソツのない発表に落ち着くことになる。周囲も躍起になってソツのない発表をさせようとする。人事もバカの一つ覚えのように「コスト意識」「コスト意識」と指導する。かくしてチャレンジからだんだん遠ざかっていく。
ぼくのときは幸いなことにそんな矯正を強要するバカな人は回りにいなかったので、存分にチャレンジすることができて楽しかった。また、持って生まれた才能で華麗なチャレンジを見せてくれる人も毎年必ずいる。だけど、ある一定の割合の人の発表からは、彼らがチャレンジという言葉の意味を忘れてしまったことを感じさせる。そんな新人の哀れな末路を毎年見るのは悲しいものである。

しかしどうだろう、電話のむこうのこの若者は、E-マーケットプレイス(もしくはエロビデオ製作、格闘技団体設立)をやりたいとな!しかも担当業務の枠を超えて!
こいつは極上のチャレンジだ。大バカ者だ。
こんな人もいるんだ、ぼくはうれしくなってこれまた丁寧に対応してあげた。持っているいろんな資料をあげた。テーマが壮大すぎて、彼の発表が空回りになってしまうことは承知の上で。だってこれはチャレンジテーマなんだ、チャレンジできればそれだけで成功なんだ。極上のチャレンジに、少しでも手を貸してあげたかった。

その後、果たせるかな彼の発表はいい具合に空回りした様子で、さりとてそれを報告する彼のメールからは長嶋茂雄のデビュー戦4三振のような爽やかさがあり。いつかホームランを打ってくれよ、ぼくはそう思って見知らぬ彼に親近感を覚えていたのです。


だから大阪に滞在するなかの1日は、彼の家に泊めてもらおう、そう思って連絡してありました。
前日に七鍵守護神さんに聞いたところによると、チャレンジテーマくんの印象は「優男」。
待ち合わせ場所に現れた彼は、まぎれもないザ・優男。たとえば彼がなにかの犯人で逃走していて、事件の目撃者に警察が「犯人の特徴は?」と尋ねたとすると、目撃者10人は口をそろえて「優男」と証言するだろう。そして大阪中のパトカーに「犯人は優男」との無線が入る。5分で捕まる。彼には犯罪を犯さないことを強くお勧めする。
話がそれた。そんな優男なチャレンジテーマくんと、感動の初対面。会社の近くの地下鉄の入り口で路上に座り込み、「ガープの世界」を読みふける、浮浪者同然の風貌の27歳無職の元・先輩は、23になったばかりの彼の眼にどう映っただろう。見ず知らずの人を訪ねて大阪くんだりまでくるぼくもバカだが、見ず知らずの27歳無職先輩を受け入れるチャレンジテーマくんもバカである。LOVE大阪。実は彼は横浜生まれ、明石育ち。

さっそく京橋へ移動し、彼のお勧めの焼き鳥屋へ。ぼくは前述のようにあふれんばかりの大阪で満腹だったので酒ばっかり。しかし彼がパワーリコメンドする鳥ソーセージ、これが強烈にうまい。彼はすっかり鳥ソーセージにはまっており、店に行くまでと店に入ってからの数時間に、ぼくは「ソーセージ」という言葉を2万回くらい聞かされたと思う。
チャレンジテーマの話とソーセージの話をして、ビールを数杯と焼酎を1本飲む。彼も相当いける口である。

そして店を出て、どこだか忘れたけど京橋の先にある住宅街にある彼のマンションへ。遅くにすみません。しかしいいマンションだなおい。
ところで、ぼくはずっと彼に聞きたいことがあった。ずっと、なにかを感じていた。その疑問は、口に出すまでもなく、彼の部屋に入ったとたんに氷解することになる。
こたつ(早くしまえ。)の上にあったのは、週刊ゴング。ああ、やっぱりそうか、彼も心の中にリングを飼っている。どちらかといえば週プロ派なぼくであるが、ここは派閥の枠を超え、がっちり握手。
そして濃密なプロレス談義。1・4ドーム大会のビデオかなんかを見る。これ生で見たよとか自慢げに言うぼく。いま考えると今年の1・4は見に行っていない。そんなこともわからなくなっていたくらいべろんべろん。しかし「見えないものを見る」力、これがぼくたち脳内レスラーのスタンド「ファイティング・スピリット」なわけだから、ぼくは1・4ドーム大会を「見た」と言ってもよいのではないか。まあいいや。彼の家では日本酒を5合くらい飲む。
朝7時に起こされて一緒に彼のマンションを出る。酒が残っている。眠い。会社員って、たいへんだ。


ああ楽しかった。突然押しかけてよかった。スタンド使いとスタンド使い、レスラーとレスラーは惹かれあうのだ。また会おう。仕事がんばって。ハッスルしろよ。チャレンジしろよ。

郷愁

2004/4/9

今は京橋のまんが喫茶。朝8時に入って、もうすぐ10時間になる。
念願のまんが喫茶だ。これがまたものすごく居心地がいい。BECKの新しいのがようやく読めた。接客がしっかりしている。480円で、びっくりするくらいちゃんとしたランチが食べれた。
大阪くんだりまで来てまんが喫茶が念願かい、とお思いでしょうが、ゆっくりして、ちゃんとしたPCで、たっぷり日記が書きたかったのですよ。まんが喫茶のネット用PCで日記を書き、アップはヤフーのIDでジオシティーズにログインしないといけないので念のため持参のノートから。2台のPCを駆使する相当にサイバーな光景です。

もちろんマンガも読みますよ。
ところでぼくは「好きな女の子のタイプは?」と聞かれると、「井上三太とか松本大洋が好きっていう女が嫌い」と言うことにしている。まあ冗談です。どちらも真剣に読んだことないんで。松本大洋はリアル嫌いだけど。
よーし井上三太、上等だ。読んでやる、持ってこい!(と自分で取りに行く。)

トーキョー・トライブ1&2、トーキョー・グラフィティ。
たまげた。


ぼくは生まれも育ちも東京なのですよ。前にも何度か書いていると思うけど、「東京生まれ」ということはすなわち「故郷がない」ということで、ときどき寂しい思いをすることがあります。
ただ「東京生まれ」ということは、たとえばテレビのドラマやニュースを見るときに、そこに映っている東京の光景を人よりも確実にリアルな実感として捉えることができる、という利点があります。地方から東京に出てきた人があとから東京の景色を覚えるのとは違ったレベルで、それこそ遺伝子のレベルで、東京の景色が染み付いているのです。だからテレビに移る東京を、東京出身者はより深く実感することができる。なんの役にも立たないのだが、なんとなくそういう気がする。

だのにトーキョー・トライブ、なんてことだ。ひどい作品だ。大嫌いだ。ぼくの住んでいる街を、そんなに簡単に壊さないでくれ。ぼくの住んでいる街で、そんなに人を殺さないでくれ。大嫌いだ。
ぼくが言うまでもなく、この作品に出てくる景色のほぼすべては実在し、その既視感と物語の淡々とした壮絶さのギャップが大きな魅力のなのです。ちょっとずつ変えてあって、「このトーキョーは、あなたが知っている東京とは少し違う」と謳われるわけだが・・・ぼくはこの作品に出てくる景色のほぼすべてを知っている。それも、遺伝子のレベルで、知っている。ぼくの実家は初台で、それは新宿と渋谷の中間で、新宿や渋谷はみんなよりも深く知っている。池袋や吉祥寺は微妙に知らないが、吉祥寺の駅前のロータリーとかはわかる。井の頭通りもわかる。池尻。246。横浜や町田も、前の仕事でよく行っていたからわかる。SARUが集うデニーズには、ぼくも行ったことがあるような気がする。
そういう、よく知っている街で、淡々と人が死に、街が壊れていく。やめてくれ。もうたくさんだ。もし初台や、いま住んでいる下北沢が出てきたら、怖くてこれ以上読み進めなかっただろう。
物語には繁華街も裏路地も、住宅街も出てくる。けど人が死ぬのは決まって繁華街だ。だれの家でもない繁華街。それは、住宅街で人を殺してしまうと、そこに描かれているリアル東京の住人の心を傷つけることになるから。井上三太はそこに気を使って、繁華街で人を殺すようにしているのだと思う。

一方でトーキョー・グラフィティ。これは人が死なない。ほっ。「表現する」ということについて表現した作品。落書きで、愛が伝わる。ホームページでも、愛は伝わるよね。伝わるかな。表現する、伝えるというのは難しいことだけれども、伝わるようにがんばるよ。トーキョー・トライブは怖すぎるので、こちらを人生の書に採用しよう。東京に帰ったら、どちらも買いに走ろう!


ああ、東京が恋しい。大阪へ来てトーキョー・トライブを読み、強烈な郷愁に襲われた。こんなところでまた人生の書に会うとは。大阪まできてまんが喫茶、なんて思わないでほしい。まんが喫茶にも、運命がある。
テラさんかっこいいなあ。「もがいてさえいたらいいんだ、前に向いてても後ろに向いててもいいじゃないか。お前が進む方向が、出口だ」「立ち止まるなよ」
シェフすごすぎ。登場するなりアップ三連発で「何がブランドだ」「自分がねーから名前にたよるんだ!」「いい学校!いい会社!いい組織!そーいった所に所属していることに満足しているヤツはなァー」「自分自身で勝負できねーからブランドによりかかるんだよ」「バカヤロウ!!」ですよ。熱すぎ。
そしてスンミ、エロすぎ。勃つじゃないか、困ります。


ああ、東京が恋しいなあ。ウナ元気かなあ。みんなは元気ですか?みんなにとても会いたい。ぼくが感じていることを全部伝えたい。やたら日記を書いているけど、伝えたくてしょうがないんだ。まだまだ伝えたりない。だからみんなに会いたいなあ。
でも、まだ帰りたくない。こっちで、もっとたくさんの人に会わなくちゃ。今回の旅で会う人、読む本、すべて運命的なものを感じるんだ。

会う人すべて、行く場所すべて、読む本すべて。飲む酒の1滴にいたるまで、24時間すべてが、いま自分の栄養になっている気がする。ちょっと躁かな?楽しいからまだ帰らないよ。みんなに会いたいなあ。

宝物

2004/4/9

賛否両論を巻き起こしながら(?)進む、日本横断お礼参りツアー。賛否両論といってもこの場合、「わたし松本大洋好きなんだけど文句ある?」「松本大洋なら『花男』がいい」「井上三太は松本大洋のいとこなんだぜ」といった松本大洋情報ばかり。おい。

大阪最後の夜は、大阪本社の同期と飲み。なんと彼らは今日のために同期会を開催してくれるのだ。まあぼくのために同期会、というわけではなく、そんならついでに同期会、ということなのだが、とにかく彼らのそういったフットワークの軽さやホスピタリティには感心する。
これどっかで書いたことある感想だな、と思ったら、1年前くらいに出張の帰りに大阪に立ち寄ったときに彼らがやはり同期会を催してくれたことがあり、そのときもそう思ったのだった。


会場は大阪本社の目の前、前回飲んだのと同じ店だったので、ぼくは自力でたどり着くことができた。7時ちょうどに店に入ると・・・まだだれも来ていない。主賓にして一番乗り、少し恥ずかしい。

やはりみんな仕事は忙しいし、支店から駆けつけてくれる人もいるし、7時ぴったりに全員集合、とはいかない。
10人で予約してあるぼくらの席は、2階の一番奥。ぼくはその上座ど真ん中側に座っていた。つまり階段から2階に上がってくる人がいると、最初に奥の席のぼくが目に入る。同期が階段を上がってくるとぼくも見える。そこでぼくは「おー」と手を挙げて同期を迎え入れようとするわけだが・・・みんなぼくの風貌の変わりように、ぼくの席が同期の席だといことに気づかずにキョロキョロしている。やっと気づいて入ってくるが、「ぜんぜん違うからわからんかったわ」と言う。みんなが、だ。おもしろい。

宴もたけなわ、というところで、ビッグサプライズ。なんと同期一同から、ギフトカードのプレゼント!その場に臨んだぼくは送別会という意識は全くなくて、ただ同期会に同席させてもらったくらいのつもりだったから、この不意打ちには参った。
涙が、止まらなかった。
大笑いで退職を迎え、東京の同期の送別会のときも声高に「会社に残る君たちも、選択の結果としての残留であってくれ」なんて演説をぶったぼく。これまでに涙はひとつもなかった。
だけどあまりの不意打ちに、涙が止まらなかった。これまでの虚勢がすべて落ちていくような、気持ちのよい涙だった。

参ったなあ。ここでもまた宝物に出会ってしまった。使えないよ。でも使わないというのも、本来の意図に反していて逆に彼らに失礼なので・・・なにか今後、とても象徴的な必要経費の決済をするときに使おう。印章の購入とかね。ありがとう!

5日目、さらに西へ

2004/4/10

大阪最後の夜は、このうえなく極上に酔っ払い、同期のもんじくんの家に泊めてもらった。どうもありがとう。風呂までいただいてしまって。朝起きて、二日酔いの胃で食べるイチゴ、これ最高。

そして9時すぎにもんじ宅を出て、車でJRの駅に送ってもらう。住吉駅。ここから西へ向け、ふたたび青春18きっぷの旅に突入。
姫路まで、これは新快速で比較的スムーズに移動。11時すぎ。しかし姫路〜岡山間の連絡が絶望的に悪い。「国境」「陸の孤島」といった単語が頭の中を去来する。
姫路でしばし足止め、ここで遅めの朝食として立ち食いそばを食べる。東京の立ち食いそばのようにブースがあって室内で食べるのではなく、駅構内に外向きのスタンドがあって、普通にホームで立って食べる形式にとまどう。しかもこれが異常に繁盛している。天ぷらそば400円、たしかにうまい。

30分ほどして、ようやく岡山行きの電車が到着。11時ごろ。ゆうべも遅かったので、むちゃくちゃ眠い。うつらうつら。
すると「おえんがん」という岡山語が耳に入り、ふと気づいて目を覚ますともう岡山。あっけなく国境を超え、岡山上陸。12時半。得した気分。

岡山で乗り換えて、ここで山陽本線の真骨頂とも言うべき列車に乗車。12時45分、岡山発。そして、19時16分、下関着。6時間半ノンストップの山陽本線、これを真骨頂といわずしてなんという。

青春18きっぷの旅

2004/4/10

もし青春18きっぷの旅をするなら、ぜひ「青春ph」(せいしゅんぺーはー)の移り変わりに注目しながら過ごしてみてほしい。青春phとは、車中における青春18きっぷ利用者の割合を示す指数で、18がマックスである。

たとえば今回は利用しなかったが、有名な「大垣夜行」などの、東京を深夜0時近辺に出発する鈍行夜行列車の車中、これなんかはシーズン中はほぼ100%が青春18きっぷ利用者なわけだ。したがって青春phは限りなく18に近く、17.9くらいの濃密な状態で、若者をぎゅうぎゅうに詰めて列車がスタートすることになる。
こうした夜行の場合は青春phの下がっていく様を観察するのが楽しい。深夜に泊まる各駅のすべてで、誰一人降りる人はいない。青春phは17.9をほぼ保ち続け、早朝に終点の大垣に着く。そしてえげつない乗り換えレースがあり、ほぼ全員がさらに西行きの次の列車に乗る。余裕を見せて大垣で小休止する人もいるのでやや下がるが、それでも次の列車の青春phは17くらいでまだまだ高水準。

しかしここから徐々に、青春phが低下しはじめる。夜が明けるにつれ、その地その地の通勤・通学客が続々と乗ってくる。一方で青春18きっぷの旅の若者も、それぞれの目的地に到達して一人また一人と降りていく。こうして、18きっぷの若者と、そうでない一般の客の比率が1:1くらいに、つまり青春phが9くらいにまで落ちるころ、時間でいうと8時すぎ、京都の手前くらいですかね。このへんの車内の光景がとてもヘン。
疲れ果てシートに崩れ眠るバックパッカーたち。途中の乗り換えレースに敗れた者は力尽きドアの横や車両の連絡通路に倒れ息絶えている。その横で迷惑そうな顔をして日常生活へ向かう通勤・通学客。すごくヘン。
あと早朝に電車がガラガラだったので思いっきりシートに横たわって寝ていて、ふと目が覚めたら自分の周り以外はぎゅうぎゅうの満員電車になっていた、なんて話もある。夜行・朝着の青春18きっぷの旅は、青春phが下がっていくさまが楽しい。


一方で、今回のような昼行の旅。こちらは逆に青春phの高まりこそが醍醐味。

いくつかの大都市を、数え切れない無名の駅でつなぐ長い鈍行列車。基本的に大都市で青春18きっぷの旅行者は降り、一般の生活者が乗ってくるから、青春phは大都市近辺では低くなる。大都市を離れしばらくすると、大都市から乗ってきた一般の生活者が降り、青春18きっぷの旅行者は乗ったまんまだから、青春phが高まってくる。
またその都市間での青春phの高低と同時に、列車が下り東京から離れるにつれ、少しずつ少しずつ一般生活者の絶対値が減り、相対的に青春phは高まっていく。
この、都市間のリズムと下りのビートの組み合わせで、青春phのヴォリュームがどんどん高まっていく、青春18きっぷの昼行の旅は、そんなジャズの音色だ。6時間半にわたる、長い長いジャズ・ライブ。

岡山〜下関間の今回のライブでいうと、青春phは9くらいからスタートし、倉敷まではイントロダクション。倉敷をすぎ笠岡・大門、そういうわけのわからないところで青春phが14くらいまで高まり、福山で10に下がる。こうした高低のリズムを繰り返しながら、ゆっくりと、着実に、青春phマックスの18をめざしてセット・リストは進んでいく。時刻表どおりに、ショー・マスト・ゴー・オン。

青春phが高まってくるころ。大都市と大都市のはざま。車窓は退屈そのものだ。
相変わらず桜が咲いている。今年は本当に持ちがいい。しかしこちとらあいにく今回の旅で、桜は見飽きるくらいに見尽くして、もううんざりだ。早いところ散ってバリエーションを見せてくれまいか。
が、桜に悪態をついていられるうちはまだいい。それすらもないと、延々と続く、田畑。デンパタ、デンパタパタ。

「○○城跡」と看板が出ているけど、ただの山!
バス停の名前が「角」、大雑把だなおい!
よくできたかかしだなと思って見ていたらリアルおばあちゃん、もうちょっと動かないとかかしと間違えるよ!

どうにも突っ込みがいも、突っ込みのキレもない。そんな退屈な車窓の連続。

宮島あたりで海が開けてきて一瞬テンションが高まるが、水というやつ、これも実はタチが悪い。今日みたいに薄曇りだととくに、眼下に一面に海が広がると、真っ白で、なにも見えない。雲の上も同然。
岩国あたりでまた青春phが下がり、工場群が見えたりすると、ちょっとほっとする。石油化学コンビナート。知ってるよ。


また青春phが高まってくるころ、車内を見渡すと、乗客の様子はいくつかのカテゴリーにきれいに収束してくるのがわかる。
今回の旅をするにあたり、ぼくは「青春18きっぷに年齢制限はない」という事実は驚くほど知られていないということを知ったのだが、青春18きっぷの旅行者の中で、高齢者の占める割合は、これまた驚くほど多い。大垣夜行ではとんと見かけないが、昼行では、半分くらいが高齢者。もう半分は、それこそ18くらいの学生風。ぼくらくらいの年は・・・ほぼゼロ。
女の子の一人旅・二人旅というのも案外多い。高齢者は女性の集団というのも多いので、全年齢おしなべると、男女比も1:1というところか。意外だ。こうした辛抱強い旅に、女性は向いているということか。
帽子の着用率、かなり高い。8割くらい。日よけというよりむしろ、髪の毛をセットするような旅ではない、ということ。もちろんぼくも帽子着用。リュック所持率も同様に高い。もちろんぼくもリュック所持。

みんな何をしているかというと、読書をしている人も多い。同行者がいる人は、話をしている人ももちろん多い。しかし、圧倒的に多いのは、何もしていない人だ。
読書をするのも、話をするのも、エネルギーがいる。長いライブで体力を奪われて、本を読む気も起きないのだ。いちおう窓の外を眺めているけれども、窓の外にはなにもないのだ。彼らは何もしていないのだ。
電車はガラガラだけれども、なぜか立っている人がいる。健康に気を使って座らないようにしている・・・のではもちろんない、座りすぎて腰が痛いのだ。何も考えずに寝てしまえばいいじゃないか。でももう寝疲れて、眠ることすらできないのだ。何もしていないことすらつらい、もはや苦行。

青春phが高まってくるころ、もちろんぼくも何もする気が起きない。
ガープの世界は相変わらずおもしろいが、本を読む気力は起きない。それにガープにこれからふりかかるであろう災厄は、今のぼくには少々辛すぎる。
日記を書こうか。書きたいことはいっぱいある。だけれどもパソコンの電源がなくなってしまった。友だちに旅の様子を伝えようか、掲示板をチェックしようか。だけれども携帯の電源もなくなってしまった。何もない。どこともつながっていない。とにかく疲れた。

だけれども、この「何もない」状況というのは、ものすごく、ものすごく久しぶりであることにも気づく。
ここ数日、果てしなく続いた出会い、運命、アルコール。躁・興奮・交感神経。そうしたあらゆる発散から、一転して収束へ。2進法の中の果てしない1の連続から、0の連続へ。何もない状況に、飽きるまで浸っていられるのは、6時間半にわたる退屈なライブの中だからこそだ。久しぶりの、充実した無。

電車は本州の西の西の果てに近づく。ついに、駅前でも改札の反対側には何もないようなところに。青春ph16.5。かなりキテル。
JRの駅名表示板。中央に漢字で、現在の駅名。埴生。読めません。左右にひらがなで、前の駅・次の駅。前あさ、次おづき。どういう漢字か想像つきません。完全に、アイ・アム・ア・ストレンジャー・ヒアー。なすすべなし。
西に来ているだけあって、明らかに陽の沈むのが遅いが、しかしそれでも陽が沈む。街灯などあるところではない。電車の中から漏れる光が外の何かを照らしてようやく、トンネルを走っているのではないことがわかる。

と、そのとき、車内の灯りが落ちた!なんてこった、夜行列車なのか?夜になると山陽本線は灯りを落とすのか?完全なる闇、ゲームオーバー、完全なる無。



この瞬間、青春ph計測器の針は振り切れた。マックス18。

もしくは完全なる無。




1分ほどして、「失礼いたしました」のアナウンスとともに、灯りがともされた。ひょっとすると数秒ほどして、だったかもしれない。だがその間確実に、完全なる無があった。無我。

列車はいよよ下関の地に到着。極上の退屈のリズムとビートを奏で終え、6時間半のライブが終了。果てなく続いた瀬戸内海が終わり、日本海が始まる。見えないが、見えたとしても何も変わらないが、そこに開けているのは、確かに日本海なはずだ。

九州初上陸

2004/4/10

延々と続く山陽本線の末に下関着、19時すぎ。
しばし乗り換え時間。駅のホームの中に立ち食いそば屋があり、東京のようにブースの中で食べるのではなくてスタンドがあって外で食べる。っておい。姫路と全く同じじゃないか。しかも姫路と同様に、ありえないくらい繁盛している。ここまでくると、「ほかに娯楽がないから」とかそういう理由で繁盛しているように思える。
1日で2度目のてんぷらそば。しかしここはさすがに下関、ふくてんだ。ふぐじゃない、ふく。でもまずい。

そこから19時半ごろの電車に乗り、博多へ向かう。博多までは・・・2時間半。下関〜博多間なんて、東京から見ると「その他大勢」って感じで、けっこう近そうな気がするものだが、実際にはまだまだ遠い。もういや〜。


と、もはや放心状態で、ついに最終目的地・博多へ初上陸。21時すぎ。
ダイエー選手のポスターや広告。めんたいこ。本物だ。エスカレーターの追い越し車線が東京と同じ右側に戻り、少しほっとする。
今宵の宿りは前の会社の九州支店に勤務するムラムラ・Eさん。ムラムラ・Eさんが大阪本社勤務だったころに仕事で深い関わりがあり、彼が東京出張にきたときにはみんなで飲みに行ったりもしていた。
九州に異動になってからは人恋しいらしく、用もないのに「九州遊びにきてや〜」と電話をかけてきたものだが・・・ほんとに来ちゃいました。

さっそく、たこ焼きとお好み焼きで高まった体内阪神濃度を、郷に入ってはダイエー濃度にに変えるべく、博多ラーメンを食べに。ムラムラ・Eさんの車で軽く博多めぐりをしながら向かう。福岡タワー変。でも福岡ドームかっこいい。ちょうどダイエーの試合が終わったころで、ダイエーの帽子をかぶった人がわらわらと出てくる。
向かったのは最近東京にも進出しているという有名店・一蘭。「お客さまに集中してラーメンを食べていただくために」ということで、カウンターにのれんがあって店員から客が見えないようになっていたり、客はブザーで店員を呼びメモ書きで注文を渡したり、他の店ではひと席ごとに仕切りがあって完全個室だったりするらしい。さながら秘密クラブの雰囲気。しかもそれを「味集中システム」として特許出願中とのこと。目隠しをしてラーメンを食べさせられているようで逆に落ち着かないのだが、ムラムラ・Eさん曰く「そのうち慣れてくんねん」。
肝心のラーメンのほうは、博多ラーメンの期待を裏切らないど豚骨でありながら、さっぱりしていて飲みやすい。うまいぞー。下関で立ち食いそばを食べて間もなかったのだが、追加の小ライスにスープもかけて、完食。博多バンザイ。

佐賀の踊り食い

2004/4/11

旅行の実質最終日は、ムラムラ・Eさんのナビゲートでエス・エー・ジー・エー・佐賀めぐり!博多は?ねえ博多は?まあいいのです。

実際、九州は電車で移動するには不便ですが、自動車なら博多〜佐賀などほんの小1時間。おりしも外は抜けるような青空。青い海。サイコーです。
山陽本線では「桜咲きすぎ、いいかげん散れ」と思いましたが、九州ではすでに8割がた散って葉桜の様相で、いざ散られると少し寂しいのです。1日でこんなに変化するはずはありません。やはり九州は本州よりもいくぶん南国なのです。「なにもないな、誰もいなーいな」と奥田民雄を口ずさみますが、そこはかとない南国ムードに、いつしか車内は「島唄」の大合唱。いや、九州だから。

そうしてまずは唐津に立ち寄る。これは遅めの朝食として「唐津バーガー」を食らうため。
基本的にエス・エー・ジー・エー・佐賀は独自の産業などが乏しいので、名物などもどことなくやる気がない。そんなわけでハンバーガーなんかがやたらと観光ガイドに載ることになる。
そんな中でも「唐津バーガー」は非常に有名らしく、ムラムラ・Eさんも九州に来て何度も周囲に勧められたそうな。彼もまだ未体験のその店は・・・どういうことだか所在地は不明。観光ガイドにも載っているのだが、連絡先不明、住所不明。なんでも車で流しの営業を行っているようなタイプの店らしい。

松林が印象的な(というか松以外なにもない)唐津の道を走っていると、道端に突如出現した駐車場。そしてそこに停まっている「唐津バーガー」のロゴの車。これだ!
周囲ののどかなドライブコースがウソのような盛況。「唐津バーガー」の車の前でオーダーを済ませ、自分の車で待っているとしばらくして完成したハンバーガーを持ってきてくれます。このハンバーガーが、非常に素朴でのんびりとした味!マクドナルドとかとは全然違う、かといってフレッシュネスとかとも違う、なんとも家庭的な味。そう、「家でハンバーガー作ってみたら意外とおいしくできました」って感じの味なのです。ハンバーガーという確立された、しかもファストフードとして確立されたジャンルの中で、ここまでのんびり感をかもし出せるというのはすばらしいと思いました。

そうして腹ごしらえをして、我々はさらなる奥佐賀・呼子へ。よぶこ。ここはザ・漁港といったフォルムの街で、なんと言ってもイカで有名らしい。本日のメーンイベント、我々はここへイカの踊り食いを食しに来たのだ!
さっそく、いけすの中でイカが泳ぐ、イカだけにいかにもなお店にて、イカの活け作り定食をオーダー。出てきたイカは・・・透き通っている!今にも泳ぎだしそうな生きのよさです。ただし切り刻まれているので泳げはしなそうです。しかし、泳げはしないんですが、足動いてます!はさみでゲソをちょんちょんと切って、醤油につけると・・・踊る踊る!!
それを口の中にぽいっ・・・吸盤が口の中で吸い付くよ!こら離しなさい!食ってやる!甘ーい!!

とまあ西洋人なら卒倒しそうな、アダルト漁業民族のたしなみです、イカ活け作り。さっきまで泳いでた、というか今もまだ動いてるくらいですので、この上なく新鮮。これまで寿司とかでもイカにはむしろ興味がなかったのですが、これだけ新鮮だと別物のようにうまいのです。
しかもイカ活け作りとは別に生ウニも頼んでおり、これがまた大盛り。白いご飯の上に、イカをどさっと乗せ、ウニもどさっと乗せ、がーっと食うわけですよ。たまらん。
かなりのボリュームで、さきほど唐津バーガーを食った我々はもう満腹なのですが、かぼすジュースの爽やかな風味が胃の交通整理をしてくれます。そして空いたスペースに、締めのイカのてんぷら。さきほどの活け作りの余ったイカをてんぷらにしてくれるのです。もう食えません。でもうまーい。

こうして、イカだけに骨抜きになった我々が最後に向かったのは温泉。場所は忘れた。春の木漏れ日の中で、ぬるめのお湯につかりながら、俗世を忘れ湯に浸る。いうまでもなく極楽。ごくらく。


というわけで本日は、これまでのタフでチープな苦行に耐えたごほうびのように、ゴージャスでラグジュリアスな旅になったのでしたとさ。ムラムラ・Eさんありがとう!ごちそうさま!

タダイマ

2004/4/12

長い長い旅を終え、本日早朝の飛行機にて福岡空港から東京へ。東京から西へ1000キロ、果ての果てまで歩いてきた感じだが、帰りはあっけないもので最高時速1000キロ、わずかに1時間20分。モニターの日本地図の上の飛行機マークが、目に見えて、動く。速い。
ほかに、とりたてて書くこともない。
あらためて振り返ってみて、旅のスピードと、旅行記のボリュームは、明らかに反比例するものだね。

とにかく疲れました。いろんな人にお世話になり、たくさん話をして、しこたま酒を飲みました。四六時中、酒を飲むか文章を書くかしていたという、中島らもみたいな生活。楽しかった。みんな、どうもありがとうございました。

思ったより疲れているようで、今日は一日寝ていた。明日はうなぎいぬを迎えに実家に行こう。部屋を片付けて、サイトを作って。旅日記も写真つきで再編集しますね。

さあ、また普通の毎日が始まります。

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